2018/09/07
民間企業、国、地方公共団体は、障害者雇用促進法に基づき、それぞれ以下の割合(法定雇用率)以上の割合で障害者を雇用しなければならないこととされています。
民間企業の法定雇用率は2.2%ですから、従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければならないということになります。
この制度上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は原則0.5人カウントになります)。雇用していたつもりだった、ということにならないよう、実雇用率算定の際はこれらの資料を確認するようにしましょう。
運送業や建設業、医療業など障害者の雇用が一般的に困難であると認められる一定の業種では、雇用義務人数を算出する際にその会社の従業員数から除外率に相当する従業員数を控除することにより、義務が軽減されます。(ただし、この制度は廃止に向けて段階的に縮小されています。)
法定雇用率未達成の会社のうち、常時雇用する従業員数が100人を超える会社は、不足1名につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納める必要があります。(特例により、常時雇用する従業員数100人超200人以下の会社は、平成32年3月まで月額40,000円に軽減されています。)
この納付金をもとに、法定雇用率を達成している会社に対して障害者雇用調整金が支給され、障害者雇用に伴う経済的負担の調整が図られています。
障害者の実雇用率が特に低い会社に対しては、以下のような流れで雇用率達成のための指導が行われることがあります。
①雇用状況報告(毎年6月1日の状況)
…これは法定雇用率の達成・未達成にかかわらず、従業員数45.5人以上の会社に報告義務があります。
②雇入れ計画作成命令
…実雇用率が低い会社に対して、2年間の雇入れ計画を作成するよう公共職業安定所長が命令を発出。
③雇入れ計画の適正実施勧告
…計画の実施状況が悪い会社に対し、適正な実施を勧告。
④特別指導
…雇用状況の改善が特に遅れている会社に対し、公表を前提とした特別指導を実施。
⑤会社名の公表
会社名の公表は、社会的影響の非常に大きなことです。採用活動などの際は、障害者雇用率の達成状況も確認されるとよいでしょう。
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