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労務管理|【2019年4月1日施行】「有給5日義務化」の罰則規定はどのくらい厳しいの?

2019/04/01

Q、働き方改革の「有給5日義務化」が2019年4月1日から始まると聞きました。罰則として「30万円以下の罰金」が定められていると聞きましたので当社としても達成に努力したいと考えています。ただし聞くところによりますと、「違反者1名につき罰金30万円が課される」という話も聞こえており、当社のように従業員が多い企業だと「未達者が10名いたら罰金は300万円」となる可能性もあるのではないかと懸念しております。法令の運用としてどのような状況が想定されますか?


 

A、労働基準法違反事案については、通常は、労働基準監督署による臨検において行政指導(指導票や是正勧告書)が行われるのが通例であり、一足飛びに罰則が適用されるということは考えにくいと思われます。また、罰則適用についても、人数に比例して罰金が科せられることは、理論上ありえるのですが、実務的はそのような運用は考えにくいと思われます。

 

解説(公開日:2019/04/01 最終更新日:2019/04/23)

 

まずは、働き方改革により改正された労働基準法を確認したいと思います。

 

◆労働基準法第39条第7項

使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

 

◆労働基準法第39条第8項

前項の規定にかかわらず、第五項又は第六項の規定により第一(新設)項から第三項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が五日を超える場合には、五日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。

 

◆労働基準法第120条第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の第百二十条次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

(中略)第三十九条第七項(中略)の規定に違反した者

 

当該「30万円以下の罰金」の運用については、明確なところが示しにくい論点ですが、労基法上の罰金刑については、一労働者及び一賃金支払期ごとに一罪として把握することが基本的な考え方とされています。

 

【参考判例】

昭和34年3月26日 最高裁決定(刑集 13巻3号401頁)

労働基準法24条2項違反(賃金不払)罪の罪数を定める基準を示した判例。労働基準法24条2項違反(賃金不払)罪は、その犯意が単一であると認め難いときは、支払を受け得なかつた労働者各人毎に同条違反の罪が成立すると認むべきであるとされた事例。

 

従って、ご質問にあるような「未達者が10名いたら、罰金は300万円」となるような状況は理論的にはあり得ると思われますが、実務的には疑問が残ります。というのは、検察官が起訴するにあたっては、1件もしくは数件のみを立件して、その他の従業員との関係での違反は余罪として処理したり、情状として考慮するにとどめるというのが、検察官側の運用としては予想されるところです。

 

ただし、法令遵守の視点からは、従業員一人一人に対する法令違反が生じていることを認識した上で、対象となる全社員について法令基準をクリアできるように管理することが必要です。

 

今般の「有給5日義務化」については、職場魅力アップや人材確保という視点から肯定的に受け止める企業と、現場シフトを維持できないとして否定的に受け止める企業の二極分化が見られるところです。人材獲得競争という観点からは、休日・休暇については、注力をせざるを得ない状況が続くものと思われます。

 

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