GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|定年後再雇用の適正な労働条件とは

2020/08/05

Q、当社で初めて定年退職者が発生します。法改正により、70歳まで雇用延長をしなければならないような話を聞きました。どのような対応が必要となりますでしょうか。

 

A、企業には、65歳までの雇用確保措置が義務づけられています。そのため、①65歳までの定年延長、②65歳までの継続雇用(定年後再雇用)、③定年の廃止のいずれかの措置を講ずる必要があります。また当該措置は、2021年4月1日施行の改正高年齢者雇用安定法により、努力義務として70歳まで延長されました(創業支援等措置により70歳までの就業を確保した場合を除く。)。 法令に則り就業を確保しつつ、過度の雇用負担とならないようなルール及び労働条件の設定をお薦めします。

 

解説(公開日:2020/08/05 最終更新日:2020/09/18)

 

2040年には60歳以上人口割合が40%を超えるという予測データもあり、高年齢者の就業確保は重要な課題となっています。一方、旧来の終身雇用制度の維持も限界に近いといわれており、企業にとって高年齢者の処遇に関しては、悩ましい問題でもあるかと思います。

以下に、法令等、企業が留意すべき点等についてまとめましたので、ご確認ください。

 

1 現状の法的義務

高年齢者雇用安定法第9条により、以下いずれかの雇用確保措置を講じなければならない旨が定められています。当該措置は、一定の要件を満たした場合、特殊関係事業主(グループ会社等)での雇用も認められています。

 
  1. ・65歳までの定年の引上げ
  2. ・65歳までの継続雇用制度(定年後再雇用)
  3. ・定年の定めの廃止
 

「定年の引上げ」と「定年の廃止」は、既存の労働契約の延長であるため、労働条件の変更は、既存の制度の範囲内で行う必要があります。

一方、「定年後再雇用」は、事業主に、定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありませんので、企業ごとに再雇用の条件を定めることも可能です。合理的な裁量の範囲の条件であれば、定年後の就労形態をいわゆるワークシェアリングとし、勤務日数や勤務時間を弾力的に設定することは差し支えないと考えられています。

 

2 合理的な裁量の範囲による条件とは

事業主が合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。

ただし、提示した労働条件が無年金・無収入期間の発生を防ぐという趣旨に照らして到底容認できないような低額の給与水準、社会通念に照らし当該労働者にとって到底受け入れ難いような職務内容を提示するなどの場合は法の趣旨に反すると考えられています。

過去の裁判例では、短時間勤務のパート社員契約で、時給1,000円の労働条件は「到底容認できないような低額の給与水準とはいえない。」とされたケースもありました。また、上記と同様の裁判例において、事務職だった従業員が、定年後再雇用時に清掃員としての労働条件を提示されたことについては、「業務内容について、定年前後の業務が全く別個の職種に属するなど性質の異なったものである場合、もはや継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用の複合行為というほかないから、従前の職種全般について適格性を欠くなど通常解雇を相当とする事情が無い限り、そのような業務内容を提示することは許されない。」として、違法とされています(※個別事例ですので、あくまで参考情報としてご認識ください。)。

定年後再雇用時の労働条件の提示は、企業側に裁量があるとはいえ、一定の制約がかかる点には注意が必要となります。

 

3 企業の対応

企業ごとに、業種・業態、歴史、人員構成は様々で、また理念や社会貢献に対する考え方も多様です。定年の引上げ、定年の廃止といった選択肢が効果的な企業もあれば、柔軟な対応が可能な定年後再雇用制度が有効な企業もあるかと思います。定年後再雇用制度を導入する場合は、賃金額や業務内容、労働時間等、労働条件は妥当なものでなければならず、また個人ごとに公平性の欠ける制度では、再雇用後の意欲の低下が懸念されますので、事前に一定の基準を設定するなどのルール化は必要といえるでしょう。

また、2021年4月1日からは現在の雇用安定措置の内容が70歳まで努力義務となります。それに伴い、65歳以上の就業確保措置については、定年退職者と個人事業主として契約し、発注するなどの対応も認められることとなります(定年退職者本人が希望した場合に限ります。)。

定年後再雇用制度については、有期雇用契約、短時間雇用契約を締結する可能性が高いため、通常の従業員との不合理な労働条件差についても留意が必要です。こうした状況もかんがみ、改めて自社にとって最適な対応を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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