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労務管理|従業員が帰化(日本国籍取得)した際の労務手続は?

2021/06/21

Q、従業員が行った帰化申請が許可され、日本国籍を取得しました。労務管理上、社会保険等の必要な手続きはありますか?

A、社会保険手続において、雇用保険、労災保険上の手続は不要ですが、外国人雇用状況報告書をハローワークへ届出る必要があります。また、健康保険、厚生年金手続が必要な場合があります。

 

解説(公開日:2021/06/21  最終更新日:2021/06/23 )

 

外国人として雇用していた従業員が、帰化申請が許可されたことで日本国籍を取得する場合があります。

社会保険手続等において、国籍変更による必要な法定手続、及び氏名変更が生じた場合の法定手続等について解説します。

 

1.国籍変更による手続

(1)労災保険、雇用保険に関する手続

国籍変更による手続は不要です。

しかし、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第28条の定めにより、ハローワークへ「外国人雇用状況届出書」の届出が必要となります。

「『離職』に係る外国人雇用状況届出書」として、余白に「日本国籍取得」と記載して管轄ハローワークへ届け出てください。これにより、外国籍労働者としての就業期間が終了したことが届出されます。

なお、外国人雇用状況届出書については、在留資格が「外交」「公用」の方は届出の必要はありません。

また、当該届出を行わなかった場合、指導、勧告等の対象になるとともに、30万円以下の罰金の対象とされていますので、忘れずに届出を行うようご注意ください。

 

(2)健康保険、厚生年金に関する手続

国籍変更による手続は不要です。

 

2.氏名変更を行った場合の手続

従業員の帰化に伴い、氏名変更を行う場合があります。

その場合、以下のとおり各種手続きが必要となる場合があります。

 

(1)労災保険、雇用保険に関する手続き

氏名変更による手続は不要です。

※労災保険の給付を受給中の場合は、管轄労働基準監督署にお問い合わせください

 

(2)健康保険、厚生年金

以下に該当する場合、氏名変更届が必要となります

  1. ・マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者*
  2. ・マイナンバーを有していない海外居住者
  3. ・短期在留外国人

*個人番号等登録届を出したことが無い方、個人番号で資格取得をしたことが無い方、その他のマイナンバー未収集者(不明な場合は、管轄の年金事務所にお問い合わせください)

 

上記に該当しない場合は、氏名変更により新しい保険証が発行されます。お手元に届きましたら、旧保険証を年金事務所まで返送ください。

上記にかかわらず、健康保険組合管掌の場合は、個別に健康保険組合にお問い合わせください。

 

3.その他

労働基準法第3条では、国籍を理由とした労働条件の差別的取り扱いを禁止しています。 労働者に有利になることも含め、帰化による国籍変更を理由として労働条件が変更されることの無いよう、ご注意ください。

また、税務に関しては、海外居住扶養親族については、扶養親族の要件に該当すれば所得控除の対象となりますが、従前同様に親族関係を客観的に証明する書類が必要となりますので、適切な書類を準備いただくようご注意ください(詳細は、顧問税理士様等にご確認ください。)。

 

以上が、帰化による日本国籍取得に伴う労務管理の手続となります。

あまり発生する頻度は多くは無いかもしれませんが、多様化する社会において該当者が増えてくることも考えられます。

発生した際は掲載した内容を参考にしていただくとともに、お気軽にご相談いただければと思います。

弊社では、外国人雇用の実務及び法令に精通した社会保険労務士が、労務相談、人事制度の構築などに対応させていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。

 
 

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