GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|【偽装請負】システム開発の受託者への技術指導における注意点

2021/07/02

Q、当社のシステム部門に、当社から業務委託されたシステム開発会社の作業員が常駐しています。これらの作業員に対するコミュニケーションとして注意すべき点を教えてください。

A、厚生労働省から、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」が公表されていますので、偽装請負の境界線を知るための具体例としてご一読いただくことをお勧めします。

令和3年5月13日 厚生労働省職業安定局 事務連絡において、疑義応答集Q10及びQ11で示されている「技術指導」の考え方は、システム開発を請負業務とする場合にも当てはまる旨が公開されました。

 

解説(公開日:  最終更新日:

 

疑義応答集Q10及びQ11の内容をご紹介いたします。(この内容自体は以前から公開されている内容です。)

 

10.請負業務において発注者が行う技術指導

請負労働者に対して、発注者は指揮命令を行ってはならないと聞きましたが、技術指導等を行うと、偽装請負となりますか。

 

適切な請負と判断されるためには、請負事業主が、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること、業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理することなどの要件を満たすことが必要となります。

発注者が、これらの要件を逸脱して労働者に対して技術指導等を行うことはできませんが、一般的には、発注者が請負労働者に対して行う技術指導等とされるもののうち次の例に該当するものについては、当該行為が行われたことをもって、偽装請負と判断されるものではありません。

 

[例]

ア:請負事業主が、発注者から新たな設備を借り受けた後初めて使用する場合、借り受けている設備に発注者による改修が加えられた後初めて使用する場合等において、請負事業主による業務処理の開始に先立って、当該設備の貸主としての立場にある発注者が、借り手としての立場にある請負事業主に対して、当該設備の操作方法等について説明を行う際に、請負事業主の監督の下で労働者に当該説明(操作方法等の理解に特に必要となる実習を含みます。)を受けさせる場合のもの

 

イ:新製品の製造着手時において、発注者が、請負事業主に対して、請負契約の内容である仕様等について補足的な説明を行う際に、請負事業主の監督の下で労働者に当該説明(資料等を用いて行う説明のみでは十分な仕様等の理解が困難な場合に特に必要となる実習を含みます。)を受けさせる場合のもの

 

ウ:発注者が、安全衛生上緊急に対処する必要のある事項について、労働者に対して指示を行う場合のもの

 

11. 請負業務の内容が変更した場合の技術指導

製品開発が頻繁にあり、それに応じて請負業務の内容が変わる場合に、その都度、発注者からの技術指導が必要となりますが、どの程度まで認められますか。

 

請負業務の内容等については日常的に軽微な変更が発生することも予想されますが、その場合に直接発注者から請負労働者に対して変更指示をすることは偽装請負にあたります。一方、発注者から請負事業主に対して、変更に関する説明、指示等が行われていれば、特に問題はありません。

ただし、新しい製品の製造や、新しい機械の導入により、従来どおりの作業方法等では処理ができない場合で、発注者から請負事業主に対しての説明、指示等だけでは処理できないときには、Q10ア又はイに準じて、変更に際して、発注者による技術指導を受けることは、特に問題はありません。

 

IT企業においては、他社(受託会社)の作業員が常駐している事例も珍しくありません。人事労務担当者は知っていることでも、開発現場でこうした知識が欠落しているようであれば、労務トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。ぜひともご注意ください。

 

弊社では、実務的な観点から、労務管理や人材管理の整備をご支援させていただいております。人事労務管理でお悩みの場合は、お気軽に下記問い合わせフォームよりお申し付けください。

 
 

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