GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|労働条件明示ルールの変更について

2024/03/06

Q、2024年の4月から労働条件の明示ルールが変わるといった話を聞いたのですが、具体的には何を変更したらよいのでしょうか。

A、今までは明示が不要であった、就業場所や業務内容の変更の範囲、契約の更新の上限、無期転換に関する内容を明示する必要があります。

 

解説(公開日:2024/03/06)

 

企業は新規雇用あるいは契約更新した従業員に対して、一定の労働条件を明示することが労働基準法第15条において義務とされています。

労働条件の明示が必要な項目とは具体的に、以下のような事項が含まれます。

 

<契約期間に関する事項>

・必ず明示しなければならないこと

  1. ① 契約期間に関すること
  2. ② 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
  3. ③ 就業場所、従事する業務に関すること
  4. ④ 始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること
  5. ⑤ 賃金の決定方法、支払時期などに関すること
  6. ⑥ 退職に関すること(解雇の事由を含む)
  7. ⑦ 昇給に関すること
 

・定めをした場合に明示しなければならないこと

  1. ① 退職手当に関すること
  2. ② 賞与などに関すること
  3. ③ 食費、作業用品などの負担に関すること
  4. ④ 安全衛生に関すること
  5. ⑤ 職業訓練に関すること
  6. ⑥ 災害補償などに関すること
  7. ⑦ 表彰や制裁に関すること
  8. ⑧ 休職に関すること
 

この明示義務を怠った場合、労働基準監督署から指導や是正勧告を受け、改善が見られないときには、労働基準法違反として30万円以下の罰金に処される可能性がありますが、2024年4月の法改正により、こちらに新たな明示事項が追加されます。

概要

対象 明示のタイミング 新しく追加される明示事項
すべての
労働者
労働契約の締結時と
有期労働契約の更新時

1.就業場所・業務の変更の範囲

【改正労基第5条第1項第1号の3】

有期契約
労働者
有期労働契約の
締結時と更新時

2.更新上限の有無と内容

(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)

【改正労基第5条第1項第1号の2】

+更新上限を新設・短縮しようとする場合、その理由をあらかじめ説明すること

【改正雇止めに関する基準第1条】

無期転換ルールに基づく
無期転換申込権が
発生する契約の更新時

3.無期転換申込機会無期転換後の労働条件

【改正労基第5条第5項・第6項】

+無期転換後の労働条件を決定するに当たり、他の正社員等とのバランスを考慮した事項の説明に努めること

【改正雇止めに関する基準第1条】

参照:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます(厚生労働省)

 

1)就業場所や業務内容の範囲

従業員全員に対して、就業場所や業務内容に変更がある可能性があればその詳細を明示することが求められます。

 

2)更新上限

有期雇用契約者に対しては、契約の更新上限についてあらかじめ明示することが必要になります。2024年以降に更新を行う労働条件通知書が対象です。

 

3)無期転換についての申込機会

有期雇用契約者に対しては、無期転換について申込機会がある旨を明示することが求められます。

 

4)無期転換後の労働条件

有期雇用契約者に対しては、無期転換後の労働条件を明示することが必要になります。

   

2024年4月1日以降締結する労働条件について、これらの変更を適切に反映させ、従業員に対して明確に伝えられるよう、準備を進めていただきたいと考えます。

昨今では、在宅勤務やリモート勤務などにより、対面での労働条件の明示が行えないケースも増えていますが、その場合、従業員の希望があれば、書面に限らずFAXやメール・SNS等による明示も可能となっています。

 

<労働条件の明示方法>

1)書面による通知

労働条件の明示は原則として書面で行います。(労働基準法第15条第1項)

2)FAXによる通知

従業員が希望する場合、FAXを利用して労働条件を通知することも可能です。

3)電子メールやSNSによる通知

従業員が希望する場合、電子メールやSNS等を利用した電気通信で労働条件を通知することも可能です。

但し、2,3の方法を選択する際は、通知した労働条件を出力して書面により確認できるものでなくてはならない点について、注意が必要です。

 

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