GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|【2026年10月】106万円の壁がなくなる?企業と働く人が知っておくべきポイントとは

2026/08/17

Q、2026年10月に106万円の壁が撤廃されると聞きましたが、本当ですか?



A、長年議論されてきた「年収の壁」問題。2025年6月の年金制度改正法成立を受け、2026年10月から社会保険の適用条件が大きく変化します。


解説(公開日:2026/08/17)

 

近年、働き方の多様化に伴い、社会保険の適用範囲は段階的に拡大されています。パートやアルバイトなどの短時間労働者も社会保険に加入するケースが増え、企業には適切な対応が求められています。2025年6月に成立した年金制度改正法による社会保険の適用拡大の概要や対象者、企業が対応すべきポイントについて解説します。


「106万円の壁」とは?

これまでの短時間労働者(パート・アルバイト等)に対する社会保険の加入条件は、以下の5つでした。
  1. 1.週の所定労働時間が20時間以上
  2. 2.月額賃金が8.8万円以上(=いわゆる年収106万円の壁)
  3. 3.2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  4. 4.学生ではない
  5. 5.従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上※の企業
※フルタイムの従業員数+週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数で判定

2026年10月、何が変わるのか?

今回の年金制度改正法により、上記の要件のうち「月額賃金8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されます。全国的な最低賃金の引き上げに伴い、週20時間以上働けば自然と月額8.8万円以上となるためです。これにより、「賃金額にかかわらず、週20時間以上働いていれば社会保険の対象になる」というルールに変わります。収入が106万円を超えたとしても、週20時間未満の場合は対象にはなりません。
今後は「106万円の壁」ではなく週20時間という「労働時間の壁」が実質的な基準になっていく、ということになります。

さらに、2027年10月以降は「従業員数51人以上」という企業規模要件も段階的に縮小・撤廃される予定です。


パート・アルバイトとして働く方への影響

社会保険に加入することで、将来受け取る厚生年金額が増えたり、傷病手当金や出産手当金といった保障を受けられるようになったりするメリットがあります。「手取りが減る」というマイナス面だけでなく、「保障が手厚くなる」というプラス面も踏まえて、今後の働き方を考えることが大切です。
なお、「106万円の壁」が撤廃されても、健康保険の扶養から外れる基準となる「130万円の壁」は別途残ります。この二つの壁を混同しないよう注意が必要です。


企業に求められる対応

企業が検討すべき主な対応としては、次のようなものが挙げられます。

1.対象者の洗い出しと個別説明
 制度が変わることを従業員に事前周知し、「加入によってどんなメリットがあるのか」を正しく伝えることが大切です。一方的な通知ではなく、希望する働き方についてのヒアリングを行いましょう。配偶者の会社の制度で「社保の扶養」が条件になっている家族手当も注意が必要です。
そのため、保険料負担による手取り減少を嫌い「週20時間未満に抑えたい」と希望する従業員が出た場合の労働時間の再調整や新規採用への対応も必要です。

2.人件費シミュレーション
 これまで社会保険の対象外だった短時間労働者が新たに加入対象となるため、企業側の社会保険料負担は増加します。特にパート・アルバイトを多く抱える企業では、コスト増への対応が急務となりそうです。

3.助成金の活用検討
キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)は、労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主に助成を行う制度です。助成金の詳細については、下記サイトをご確認ください。

厚労省リーフレット:https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001684101.pdf
ガルベラの助成金活用サイト:http://joseikin.gerbera.co.jp/short_time


まとめ

社会保険の適用拡大は、一見すると「保険料負担の増加」というネガティブな側面が目につきやすいトピックです。しかし、労働者にとっては「将来の安心とセーフティネットの強化」、企業にとっては「就業時間の制限をなくし、パート社員の戦力化・定着を図る機会」と捉えることもできます。
「106万円の壁」の撤廃に向け、単なる給与計算・手続きの対応にとどまらず、自社の雇用方針や評価制度を含めた見直しを進めていきましょう。

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、各種ハラスメントに対応した研修および労務相談を実施しています。社会保険労務士による監修で、単なる理論にとどまらず、現場で起こりうるトラブルの未然防止から発生時の初動対応まで、会社の実情に合わせた万全のサポート体制を構築いたします。

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