2016/09/13
Q 労働局から「あっせん開始通知書」が届きました。退職した従業員から申請あったと書かれています。あっせんとはどのようなものでしょうか?また、必ず出席しなければならないのでしょうか?
A 労働局からの突然の通知に驚かれたことでしょう。
「あっせん」とは、労働条件や雇用に関して、個々の労働者と事業主との争いごとにについて、当事者の両方または一方から申請があった場合に、申請を受けた機関が場を設けて、争いごとの解決を図るものです。
これは、裁判外紛争解決手続(ADR)のうち、厚生労働省が管轄する「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて、各都道府県の労働局が行っており、無料で利用することができます。
労働局の他にも、中央労働委員会や社会保険労務士会または弁護士会などでも、あっせんを行っています。
□あっせんの対象になる労働紛争とは?
あっせんの対象となるのは、労働条件その他労働関係に関する事項についての個別労働紛争です。
具体的には・・・
○解雇、雇止め、配置転換、出向、昇進・昇格、労働条件の不利益変更などの労働条件に関する紛争
○いじめ、嫌がらせなどの職場環境に関する紛争
○会社分割による労働契約の承継、同業他社への就業禁止などの労働契約に関する紛争 など
一方、対象とならないものは次のものです。
●労働組合と事業主の間の紛争や労働者同士の紛争
●募集・採用に関する紛争
●裁判で係争中である、または確定判決が出ているなど、他の制度において取り扱われている紛争
●労働組合と事業主との間で問題として取り上げられており、両者間で自主的な解決を図るべく話合いが進められている紛争
あっせんごとの具体的な内容は、会社に送られた通知書に、申請人が誰であるか、と申請人が書いた申請概要の写しが入っています。
□あっせんの参加は断ることができるか?
あっせんを申請された側が、参加する、しない、は自由です。
あっせんに参加しないと返事をした場合は、あっせんでは紛争の解決の見込みがないものとして、打ち切りとなります。
参加をしなかったことで、何ら不利益になるものではありません。
□あっせんはどのように進められるか?
申請をされた側が参加すると返事をすると、日程を調整してあっせんが実施されます。弁護士、大学教授、社会保険労務士などの労働問題の専門家が、紛争調整委員会の委員となり、紛争当事者双方の主張の確認し、紛争当事者間の調整、話し合いの促進をした後、当事者双方が求めた場合には、両者に対して、事案に応じた具体的なあっせん案を提示します。
この間、紛争当事者である従業員と会社側の参加者は、直接顔を合わすことはなく、別々に委員に面談しながら進められます。
当事者双方が、あっせん案を受諾した場合、またはその他の合意が成立した場合は、合意書が交わされて解決となります。一方、合意に至らなかった場合は、打ち切りとなり、他の紛争解決機関の説明や紹介(他の紛争解決機関が行うあっせんを除く)を受けることになります。
従業員と会社の紛争は、当事者間で解決することが第一ですが、収まらない場合は、裁判上の手続きに進むしか手段がありませんでした。あっせんは、その一歩手前で解決を望む場合には、有効なひとつの手段です。
ガルベラ・パートナーズでは、企業と従業員の個別の紛争について解決するためのアドバイスを承っております。ぜひご相談ください。
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