Q. 私の会社では、最低賃金を元に従業員の給与を決めています。今年の秋の改定に向けて準備しておくことや最低賃金の上昇の見込みについて教えてください。
A. 7月下旬から8月にかけて各都道府県労働局の答申が出され、10月から新しい最低賃金を使うことになります。8月初旬になりましたら、厚生労働省のホームページやニュースで新たな最低賃金の額を確認してください。
今後の人件費の算出等のため、確定前に予算を決めておく必要があるということでしたら、最低賃金については3%の上昇を見込んでおいてください。
【参考】
すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました(※厚生労働省)
解説(公開日:
最終更新日:
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厚生労働省の中央最低賃金審議会が29年度の最低賃金の改定に向けた議論を6月27日に開始しました。
今回のご質問と同じく、最低賃金を元に給与を決めている会社もあると思います。もし、時給や月給が最低賃金から決められているとすると、最低賃金の改定に伴って給与を変更しなければなりません。最低賃金が正式に改定されてからでは対応が間に合わないため、最低賃金に関する情報は早めに収集しておく必要があります。
現在の最低賃金
最低賃金の決め方は大きく2種類あります。地域別と産業別です。
産業別は決められていないものもありますので、ここではすべての業種にかかわる地域別をみていきます。現在(H29.7時点)の最低賃金は、弊社の事務所がある都府県でいうと、東京が932円、大阪が883円、福岡765円です。そのほかの地域については、下記をご参照ください。
【参考】
地域別最低賃金の全国一覧(※厚生労働省)
最低賃金の決め方
毎年、厚生労働省の中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に対し、金額改定のための引上げ額の目安が提示され、都道府県労働局に設置する地方最低賃金審議会では、その目安を参考にしながら地域の実情に応じた地域別最低賃金額の改正のための審議を行います。
厚生労働大臣が中央最低賃金審議会に求めた内容
冒頭に書きましたとおり、6月27日に、厚生労働大臣が中央最低賃金審議会に対して、調査審議を求めて議論が開始されました。
厚生労働大臣の出した内容は、「働き方改革の実行計画に配慮した調査審議を求める」というものです。働き方改革の実行計画には、次のように書かれています。
「
年率3%程度をめどとして、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す。このような最低賃金の引き上げに向けて、中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。」
【参考】
第48回中央最低賃金審議会資料(※厚生労働省)
2017年度の最低賃金の改定の見込み
上記により、
あらかじめ予算を見込む必要があれば、最低賃金は今年度の額から3%アップで考えておきましょう。
年率3%の引き上げが行われた場合、東京都の最低賃金は、現在の932円から28円あがって960円になります。昨年度は全国平均25円の引き上げでしたが、これに近いかさらに上回って引き上げられる可能性もあります。
今後の対応
7月下旬から8月にかけて各都道府県労働局の答申が出て、10月から新しい最低賃金を使うことになります。これから気をつけてニュース等を見ていくことが必要です。
参考に、東京の場合の去年の流れを書いておきます。
7月4日に、東京労働局長から東京地方最低賃金審議会に対し諮問を行い、同審議会は審議の結果、8月5日、現行の時間額907円を25円引上げて932円に改正する(引上率2.76%)ことが適当である旨の答申を行いました。これを受けて東京労働局長は、東京都最低賃金を時間額932円とする決定を行い、9月1日に官報公示を行いました。これによる効力発生日は平成28年10月1日です。
【参考】
すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました(※厚生労働省)
最後に
地域別最低賃金は原則、正社員だけでなく、アルバイトはもちろん、高齢者や障害者にも適用されます。一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合、減額の特例をすることも認められていますが、個別に都道府県労働局長の許可を得た場合に限られます。
お店でアルバイトの募集をしている紙をみると、ときどき試用期間中や高校生の時給が最低賃金を下回っていることがありますが、
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められているため、ぜひ気をつけてください。
【参考】
最低賃金制度の概要(※厚生労働省)
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