2019/04/26
フレックスタイム制は、従業員が始業時刻と終業時刻を選択して働くことができる制度として、1988年4月より法律上の制度としてスタートしました。
働きかた改革法では、これまでは1か月以内であった清算期間を最長3か月まで延長することができるようになりました。
清算期間などフレックスタイム制度の基本的なことについてはこちらをご参考下さい。
ガルベラ・パートナーズ ブログ「フレックスタイム制導入の注意点」
フレックスタイム制は、実際の労働時間が清算期間の法定労働時間を超えた時間数を時間外労働としてカウントする制度です。1日毎に法定の8時間を超えたとしても、清算期間で見たときに、期間中の法定労働時間を超えていなければ時間外労働としてカウントする必要はありません。
1ヵ月区分の週平均50時間となる上限労働時間数
暦日数
31日 221.4時間
30日 214.2時間
29日 207.1時間
28日 200.0時間
※ 計算方法 50時間×歴日数÷7日
4月は214.2時間が新ルールの上限時間となるところを220時間の労働時間となるため5.8時間は4月の時間外労働としてカウントする必要があります。
5月と6月については、1か月区分ごとの上限労働時間数を超えていないため、1カ月区分では時間外労働はありません。
このように5.8時間は4月の時間外労働としてカウントされ、そして清算期間の終了月の6月には、期間中である3か月間の時間外労働20時間(540時間-520時間)から5.8時間を差し引いた14.2時間が時間外労働としてカウントされます。
清算期間を決定するときの注意点
清算期間を1か月を超える期間にした場合、時間外労働は上記のようなカウント方法になります。
ここで注意が必要なのは、毎月恒常的に週平均40時間を超える時間外労働が生じる職場です。このような職場の労働時間は、清算期間の最終月以外の月の週平均50時間との時間差が、最終月に加算されるため36協定の上限時間数に収まらない事が考えられるからです。
例えば4月からの3か月を清算期間とした場合の各月の実際の労働時間数は次のようになったとします。
4月 210時間(歴日数30日)
5月 220時間(歴日数31日)
6月 210時間(歴日数30日)
清算期間中の実際の労働時間は640時間
この場合の各月の時間外労働時間は、1カ月区分の上限時間との比較により、次のようになります。
4月 0時間
5月 0時間
6月 100時間
このように最終月の6月に4月と5月でカウントされなかった時間外労働時間数が加算されてしまい通常の36協定時間数である月45時間を超えてしまいます。
清算期間を1か月を超えた3か月ではなく、従来のフレックスタイム制の清算期間である1か月にした場合であれば、各月の時間外労働時間数は次のようになり通常の36協定時間数内に収まることになります。
4月 38.6時間
5月 42.9時間
6月 38.6時間
※ 清算期間を1か月とした場合の各月の法定労働時間数 40時間×歴日数(30日または31日)÷7日
このように清算期間を1か月以内の期間または1か月を超える期間のどちらに設定するかによって、時間外労働時間数のカウント方法が異なります。このため、職場の労働時間数の実態に応じた清算期間を、制度導入の際に検討する必要があります。
フレックスタイム制は、清算期間中の労働時間の総数を管理することによって、結果的には時間外労働を減らそうという制度です。例であげたような時間外労働が恒常的に発生する場合には制度は向いているとは言えません。
このため、制度導入には全体の労働時間数を削減することを目標に、柔軟な働きかたを進める制度として利用することをお奨めします。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、フレックスタイム制などの変形労働時間制を活用した効率のよい勤務時間制の設計のご相談を承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料:厚生労働省 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き
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