GERBERA PARTNERSブログ

国際労務|外国人雇用のポイント ~脱退一時金を請求しよう!~

2015/05/19

Q 当社では外国人社員が多数勤務しています。外国人でも厚生年金に加入しなければいけないので、保険料を毎月徴収していますが、社員が辞めて帰国するときに払い戻しができると聞きました。掛け捨てになるのも気の毒なので、よい方法があれば教えてください。

 

A 厚生年金の脱退一時金という制度があります。名前はよく知られているのですが、手続きが複雑なため、個人として利用されている方は少ないかと思います。

 

 厚生年金の掛け捨て防止のために、せっかく用意されている制度ですので、積極的に活用したいところです。外国人を雇用している会社のご担当者はこの機会にぜひチェックしてみてください。

 

<制度の概要>

対象は外国人のみです。日本人の出国者は対象になりません。厚生年金の加入期間は最低6ヶ月必要です。

 

気になる払い戻し金額ですが、一例ですと、月給20万円の外国人社員が6ヶ月加入した場合、脱退一時金は約100,000円。1年加入した場合は約200,000円というイメージになります。

 

手続きは日本年金機構本部あてに郵送で行います。

注意事項としては、日本を出国した後にしか手続きができないということです。海外からの書類のやりとりになってしまいますので、その点をいかにスムーズにできるかがポイントです。そうした手続きの部分で、会社として支援する余地があるように思います。

 

<申請要件の詳細>

脱退一時金を申請するためには、以下の4つの要件をチェックしてください。

 

(1)日本国籍を有していない方(つまり外国人のみ)

(2)厚生年金の加入期間が6ヶ月以上ある方

(3)日本に住所を有していない方(つまり出国後であるということ)

(4)年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことのない方 

(3)に関連しての細かい注意点です。

 

再入国許可期間内は、原則として脱退一時金を請求することができません。ただし市区町村へ転出届を提出したうえで、再入国許可を受けて出国している方は、請求可能とのことです。

 

また社会保障協定との関連で注意点です。

欧米諸国を中心に日本と社会保障協定を締結している国がいくつかあります。一部の国では、年金加入期間を通算できる場合があり、脱退一時金で精算するよりは、加入期間を通算したほうが将来的にメリットになる場合があります。

どちらが得なのか迷われた場合は、日本年金機構本部の「外国業務グループ」宛てにご相談していただくとよろしいかと思います。

 

<申請手続きの詳細>

下記の書類を揃えてください。

 

(1)脱退一時金請求書(各国語版が日本年金機構HPからダウンロード可能です)

(2)パスポートの写し(最後に日本を出国した年月日、氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)

(3)「銀行名」「支店名」「支店の所在地」「口座番号」及び「請求者本人の口座名義」であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等。または「銀行の口座証明印」の欄に銀行の証明を受けてください。)

銀行は日本国内銀行でも外国銀行でもかまいませんが、出国後に証明を取る必要がありますので、実務上は外国銀行を利用する形が多いかと思います。

 

<脱退一時金の金額>

以下の算定式で計算されます。

 

脱退一時金額=平均標準報酬額×支給率

 

平均標準報酬額は、保険料を決めるときの報酬月額と同じですが、賞与が出ている場合はそれを含めて12ヶ月で平均した額になります。

支給率は加入期間によって決まっています(一覧表は日本年金機構HPで公開されています)。一例ですが、6~11ヶ月加入で支給率0.5、12~17ヶ月加入で支給率1.1となっております。

 

※なお外国に送金されますので、所定の外貨に換算されて口座に振り込まれます。

 

<非居住者の源泉所得税>

脱退一時金は所得税法の退職所得となりますが、非居住者税率20.42%で源泉徴収されてしまいます。この税金は納税管理人を定めて確定申告をすることができればほぼ間違いなく戻ってくる税金なのですが、外国人個人として手続きするのは困難でしょう。

 

以上が脱退一時金の概要となりますが、このように整理してみると、さほど複雑なものではないのですが、日本の行政手続きは全て日本語ベースになりますので、外国人個人が行うのは不安があるのではないでしょうか。

 

また、会社が代行するにしても、ノウハウの不足や法律手続き上の限界がありますので、どうしても外国人個人にお任せする部分が多くなります。

 

これらの手続きをスムーズに進めるためには、各種の専門家の支援を活用することをおすすめします。

 

例えば、海外転出届や住民票の除票などの行政手続きは行政書士が行うことができます。

 

また脱退一時金の請求は厚生年金保険法の手続きですので、社会保険労務士が日本国内で全て代行できます。

 

さらに、納税管理人や代理申告は税理士にお願いすれば安心でしょう。

 

 こうした専門家に個々に依頼するとコストが高くついてしまうのですが、弊社ガルベラ・パートナーズ・グループではこうしたサービスがワンストップでご提供いたしております。

 

 また、多くの企業様の国際労務の実務対応に精通したコンサルタントも多数在籍しておりますので、本社管理担当者様の様々な疑問にも対応が可能です。

 

 申請代行や規程作成などのスポット業務のみならず、海外労務顧問契約もご用意しております。ますます複雑になる国際労務にお悩みの企業様を強力にバックアップさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 ガルベラ・パートナーズ 国際労務.com  


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