2017/08/02
A. 日々または30日以内の期間を定めて雇用する、日雇派遣は原則禁止されていますが、携わる業務と一定の要件に当てはまる派遣スタッフを派遣する場合は例外とされています。
【日雇派遣は原則禁止されています】
労働者派遣法は平成27年に大きく変わりましたが、日雇派遣が禁止となったのは、それ以前の平成24年の改正です。(平成24年10月1日施行)それまでは派遣を行なってはならない建設業務や港湾運送業務などを除いて、1週間だけ、あるいは1日だけといった短期間の労働者派遣が可能でした。この改正では、派遣会社のなかでも短期間の派遣を得意としていた場合は、事業運営に大きな影響があったと思われます。
労働者派遣法で禁止されている日雇派遣の範囲は、「日々又は30日以内の期間を決めて労働者の派遣」とされています。こちらの表をご参照ください。
厚生労働省「クローズアップ 知っておきたい改正労働者派遣法のポイント」からの抜粋
契約期間が31日以上あれば、その間の勤務日数が少なくても、例えば31日中に1日の勤務だけという派遣でもいいのだろうか?、という疑問が湧いてきますが、社会通念上明らかに適当とはいえないこのような契約は日雇派遣とみなされます。
日雇派遣に当らないと判断される契約内容の概ねの目安は、週20時間以上(雇用保険加入対象となることが望ましい)です。
派遣スタッフの勤務実態がこの基準を下回っている場合は是正の対象になるため、雇用期間中の就業時間を増やしていく必要があります。
ご質問内容のクライアントの要望が短期間であったとしても、同じ期間に複数の会社に派遣することで、これらの要件を満たしていれば日雇派遣にはなりません。
原則禁止とされている日雇派遣ですが、次の①②いずれかに該当する場合は、例外が認められています。
つぎの業務に労働者派遣をした場合は、例外が認められています。
○ソフトウェア開発 | ○ファイリング | |
○添乗 | ○書籍等の制作・編集 | |
○機械設計 | ○調査 | |
○受付・案内 | ○調査 | ○広告デザイン |
○事務用機器操作 | ○財務処理 | |
○研究開発 | ○OAインストラクション | |
○通訳・翻訳・速記 | ○取引文書作成 | |
○事業の実施体制の企画・立案 | ○秘書 | |
○デモンストレーション | ○セールスエンジニアの営業、金融商品の営業 |
これらの業務は、元来派遣が認められていた専門性のある業務であるため、派遣労働者にとっても、雇用を管理する側にとっても適正に運営ができるものとして例外となりました。
つぎの要件に該当する派遣労働者を派遣することは、例外が認められています。
アについては、雇用の機会が得られにくいことが、イからエは雇用が不安定であることが経済的な不安定につながらないことが、日雇派遣であってもよいという理由です。
このように、例外が認められている①または②に該当する場合は、雇用期間が30日未満であっても、その勤務内容が週20時間未満であっても労働者派遣は可能です。
ここで注意が必要なことは、②イの昼間学生の定義です。
昼間学生とは、学校教育法第1条で規定されている「学校」に昼間部の学生または生徒とされています。専門学校のなかには、この「学校」に当らないものがあるため、そこに通っていても例外の対象になりません。
特に近年増えている留学生の場合、通っている日本語学校のなかには「学校」に当らず、昼間学生に当らないケースがありますので、日雇派遣の例外にはなりません。
日雇派遣が禁止される背景には、社会問題になっている、正社員ではない働きかたでは雇用が細切れで不安定であることと、正社員との収入の格差があります。これをなくしていこうとする大きな動きによって規制が設けられ、いまの「働きかた改革」によって加速しています。
特に、平成27年の労働者雇用法の改正以降では運営上の要件が増え、日雇派遣についても、これまで以上に正しい運営が求められるようになっています。ご質問のような、短期の派遣リクエストが多い場合には、禁止されている日雇派遣になっていないかをご確認いただく事をお奨めします。
弊社では、貴社に合わせた労働者派遣事業の運営をトータルでサポートさせていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。
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