GERBERA PARTNERSブログ

労働安全衛生|労務管理上の熱中病対策の必要性とは

2019/06/10

Q、年々気温が上昇していますが、会社として、どんな暑さ対策を行う必要がありますか?


 


A、法令及びガイドラインを参考に、必要な対策を講じましょう。

解説(公開日:2019/06/10  最終更新日:2019/06/13 )

1.安全配慮義務

通常、労働者は会社の指定した環境で、指示された業務を行います。このことから、会社は、労働契約に具体的に定めずとも、信義則上当然に労働者を危険から保護するよう配慮しなければならないとされています(安全配慮義務)。

 

労働契約法5条

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

 

なお、この「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるとされています(平24.8.10基発0810第2号)ので、メンタル疾患に対しても十分注意を払う必要があります。過去の裁判例から、義務を果たしていたか否かという点については、事業者が予見できた可能性があったかどうか(予見可能性)、事業者が回避できた可能性があったかどうか(結果回避性)という視点で判断される点に注意が必要です。

安全配慮義務を怠ったとして、労働者に怪我や疾患を負わせた場合や、不幸にも死に至ってしまった場合は、巨額の損害賠償支払いを命じられる場合があります。これは、会社だけでなく役員や当事者個人に課されることもありますので、加害者とならないよう、適切な対応を行う必要があります。

また、労働安全衛生法においても、安全管理者、衛生管理者等の選任、(安全)衛生委員会の開催、各種健康診断・安全衛生教育の実施が義務づけられています。これは、「事業主の講ずべき具体的な措置が規定されているところであり、これらは当然に遵守されなければならない(平24.8.10基発0810第2号)。」ため、これらの対応が形骸化されている場合は会社側の責任を問われる可能性は高まる事でしょう。

 

2.具体的な対策

では、「暑さ」に対して、会社側ではどのように責任を果たしていけばよいでしょうか。

行政通達「職場における熱中症の予防について(平21.6.19基発第0619001号)」では熱中症の予防に関する対策が示されています。屋外作業はもちろんのことですが、室内においても熱中症は発生すると言われています。また自覚症状がない場合もあり、予防対策や一定のルールに基づいた対応が重要ですので、以下に概要をまとめてみました。

 

■作業及び環境の管理

(1)WBGT値(暑さ指数)の低減等

第一に、暑さを和らげる対策が必要です。具体的には、扇風機、冷風機、エアコン、防熱グッズ(冷却材、携帯扇風機)等の設置、可能であれば温度管理が出来る状態を作ることが考えられます。

 

(2)休憩場所の整備、作業時間の短縮等

高温多湿の場所での就業の場合、日陰の場所や風通しのよいスペースを確保し、休憩を行うなど、長時間の就労とならないような配慮が必要です。

 

(3)水分及び塩分の摂取

定期的かつ容易に水分や塩分補給を行える状況を確保することが必要です。

経口補水液、塩飴等を備付け、こまめな補給を行うよう働きかけましょう。

 

(4)服装等

熱を吸収したり、保熱するような服装は避ける必要があります。制服がある場合は、素材への配慮を行いましょう。屋内での就業の場合は、オフィスカジュアルの導入等、通気性の良い恰好を推奨しましょう。

 

(5)作業中の巡視

水分、塩分の補給状況の確認や、異変が見られた場合は、作業を中断するなどの対応が必要となります。

 

■健康管理、安全衛生教育

日ごろから、労働者の健康管理を行う意識に努め、習慣化された状態を作ることが必要です。健康診断結果に基づく対応や、職種によっては日常の健康体調管理、労働者の健康状態の確認を行う体制も必要かと思います。

また、法令に定められた安全衛生教育は必ず行い、熱中症が発生した際の救急処置の対応なども、準備しておく必要があります。

 

以上、法令や行政の見解に基づき、会社の義務と求められる暑さ対策をご紹介しました。

安全配慮義務は会社にとって重要な責務であり、長時間労働の問題にも関連して、今後ますます注目が高まると思われます。「過重労働による健康被害防止のための総合対策について(平18.3.17基発第0317008号)」や、「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について( 基発第546号平成4年10月1日)」等も示されていますので、暑さ対策だけでなく、会社の状況により、より良い職場環境の形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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