GERBERA PARTNERSブログ

労働安全衛生|「安全衛生委員会」をリモート開催、オンライン開催することは可能か?

2021/03/09

Q、当社ではリモートワークが主となっているため、全ての委員が集まって安全衛生委員会を開催することが難しくなっています。また、産業医が多忙のため、安全衛生委員会の開催時間に合わせて来社することも難しい状況です。
オンラインや電子メール等の手段で安全衛生委員会を開催することは可能ですか?

A、一定の要件を満たすのであれば、「動画通信」「音声通信」「チャット」「電子メール等を活用した即時性のない方法」を取り入れて安全衛生委員会を成立させることは可能であることが、このたび行政通達で示されました。

 

解説(公開日:2021/03/09  最終更新日:2021/04/21 )

 

本稿では、行政通達「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条 の規定に基づく安全委員会等の開催について(令和2年8月27日 基発0827第1号)を引用しながら、「動画通信」「音声通信」「チャット」「電子メール等を活用した即時性のない方法」によるオンライン開催の注意点を確認したいと思います。

 

なお、当該行政通達は、新型コロナウイルス時限特例ということは記載されていません。

「近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて安全委員会等を開催することへのニーズが高まっているが、情報通信機器を用いた開催においても、事業場における安全衛生に係る問題の十分な調査審議が確保されるよう、事業者は、記の2に留意の上、事業場の実情に応じた適切な方法により、安全委員会等の設置・運営を行う必要がある。」とあるように、新型コロナウイルス対応に限らず、デジタル化ニーズへの対応という観点から発出された行政通達であると解釈されます。

 

【1】オンライン開催の3要件について

行政通達では、次のア~ウが前提要件として示されています。

  1. ア 安全委員会等を構成する委員(以下「委員」という。)が容易に利用できること。
  2. イ 映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること。
  3. ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置が講じられていること。

これら3要件は、主に使用するツールに関する要件ですが、無料サービス等ではなく、ビジネス用で通信品質や機密防止が対応されているツールを使うことが必須と言えます。

 

【2】「音声通信」や「チャット」のように動画による対面がないものを利用する場合

行政通達により、「なお、音声通信による開催やチャット機能を用いた意見交換等による開催については、調査審議に必要な資料が確認でき、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能であること。」との追加要件があります。

 

動画を使わない場合は、画面共有で資料を映写することが難しいため、議題や資料については事前送付することが望ましいと言えます。

 

【3】電子メール等を活用した即時性のない方法により開催する場合

行政通達では、原則的には、動画通信、音声通信、チャット機能等の即時性のある方法が原則とされていますが、「次の(ア)から(エ)までに掲げる事項に留意の上、予め安全委員会等で定められている場合は、電子メール等を活用した即時性のない方法により開催することとして差し支えないこと。」として条件付きで認められています。

  1. (ア) 資料の送付等から委員が意見を検討するための十分な期間を設けること。
  2. (イ) 委員からの質問や意見が速やかに他の委員に共有され、委員間で意見の交換等を円滑に行うことができること。その際、十分な調査審議が可能となるよう、委員全員が質問や意見の内容を含む議論の経緯を確認できるようにすること。
  3. (ウ) 委員からの意見表明等がない場合、当該委員に対し、資料の確認状況及び意見提出の意思を確認すること。
  4. (エ) 電子メール等により多数の委員から異なる意見が提出された場合等には委員相互の意見の調整が煩雑となることから、各委員から提出された意見の調整に必要な連絡等を行う担当者を予め定める等、調査審議に支障を来すことがないようにすること。

例えば、産業医や特定の委員が時間調整の都合で安全衛生委員会に参加ができない場合などが想定されますが、電子メール等で事前に資料を送付した上で、議事の状況(議事録の写し)を送付して議事の状況を把握していただき、それに対しての意見を仰ぐという方法を取ることが可能と考えられます。

 

行政通達では、「電子メール等を活用した即時性のない方法」とありますが、産業医の中には、電子メールは受け付けないという先生もいらっしゃいますので、最後の手段としては「書面の送付」ということになりますが、実質は同じことであるため可能と解されます。

(なお当該通達には、「書面の送付による即時性のない方法」は言及がありませんが、本稿筆者が労働基準監督署に確認したところ、「資料や議事録の書面送付でも、議事の内容が確認可能で意見を述べる機会が付与されているのであれば差し支えない」との見解が示されたことをご参考までに申し添えます。)

 

【4】議事録等の保存について

『情報通信機器を用いて開催した安全委員会等においても、委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容のほか、委員会における議事で重要なものについて、法第103条第1項及び労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第23条第4項に基づき、書面により記録し、これを保存する必要があること。なお、電磁的記録により作成及び保存する場合には、(中略)「労働基準局所管法令の規定に基づく書類については、労労働基準監督官等の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていることが必要であること」等とされていることに留意する必要があること。』とされています。

 

当然のことながら、オンライン開催であっても議事録や資料は保存義務があり、電子保存である場合は、速やかに資料の検索、閲覧、コピーができるように管理をしておく必要があります。

 

安全衛生委員会は、全員集合がネックとなり形骸化しやすい論点ですが、こうした通達が示されたことによりオンラインで機動的な開催を進めやすくなりました。この機会に法令遵守として開催方法の見直しをしてはいかがでしょうか。

 

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