GERBERA PARTNERSブログ

中国|中国現地法人の清算手続きと休眠手続きの流れと留意点

2023/04/07

Q、当社は製造業を営んでいます。中国に現地製造子会社があるのですが、生産の先行きが不透明なことから、中国現地法人の撤退や休眠を検討しています。現地工場には従業員もまだいるのですが、彼らの解雇や現地法人の清算や休眠の手続き方法について教えていただけませんでしょうか。

A、中国現地法人の清算や休眠に際して従業員を雇用している場合は、まずは従業員の解雇を進めて、そののち清算手続きまたは休眠手続きを進めます。中国当局は税金のとりっぱぐれを特に気にしますので、しっかりケアしながら進めることになります。清算や休眠の手続きの流れについて、以下にご案内させていただきます。

 

解説(公開日:2023/04/07  最終更新日:2023/08/24 )

   

ご案内の前提

本稿は前提として日本から100%出資している現地法人を想定しておりますので、合弁の場合は少し内容が異なります。予めご了承ください。なお、100%独資会社であっても、口座に資金が残っているときは海外送金が難しい場合もあるため、事前に(なるべく早めに)専門家へご相談されることをお勧めします。

 

中国現地法人の労働者の解雇手続き

中国現地法人の清算または休眠に際して、中国現地法人にまだ従業員(ローカル社員)との労働契約が残っている場合は、その労働契約の解除については、清算や休眠の手続き着手前に対応しなければなりません。

 

(1) 会社側が契約解除を求める場合

中国の労働契約法では、使用者及び労働者は協議による合意のうえで労働契約を解除することができると定めています。

さらに、使用者が労働者に労働契約の解除を提起し、かつ、労働者と労働契約の解除について協議により合意した場合は、経済補償金を支払うべきとあります。

したがって、協議による合意のうえで労働契約を解除する際は、当事者のどちらから解約を提起したかが、労働者が使用者に経済補償金の支払いを請求できるかどうかの分かれ目となります。

 

(2) 会社側がリストラをする場合

中国現地法人が下記(1)から(4)のいずれかの状況で、20人以上又は20人未満であっても企業従業員総数の10%以上の人員削減が必要な場合は、使用者は30日前までに労働組合又は全従業員に対して状況を説明し、労働組合又は従業員の意見を聴取後、人員削減案を労働行政部門に報告したうえで人員削減を行うことができます。

  1. (1)企業破産法の規定によって再編を行う場合
  2. (2)生産、経営が極めて困難になった場合
  3. (3)企業の製品転換、重大な技術革新又は経営方式に調整があり、労働契約変更後においてなお人員削減が必要である場合
  4. (4)その他、労働契約の締結時に依拠した客観的な経済状況に重大な変化が起こり、労働契約の履行が不可能となった場合

※中国現地法人の従業員の解雇手続きは別のブログ記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

中国|中国の経済補償金について その1」(GERBERA Q&A BLOG)

 

中国現地法人の清算手続き

 

(1) 報告書の作成

中国現地法人を清算する場合は、まずは財務関係を整理し、清算報告書を作成しなければなりません。これは外部の中国監査法人または会計師事務所に依頼するのが一般的です。

 

(2) 税務局への抹消手続き

まず、税務登記の抹消手続きを進めます。中国公認会計士が当年の清算報告書を作成し、これを中国商務委員会に申請し、清算委員会備案を登録し、公告を掲載したあとで、税務監査の対応を終えれば、税務局の登記抹消へと進めることができます。資産負債を整理し、中国税務局に支払うべき税金を支払います。

 

(3) 財政局、外貨管理局への抹消手続き

残余財産の分配後に、外貨管理局の登記を抹消し、外貨口座を閉鎖します。その後、基本口座も閉鎖します。

 

(4) 税関、統計局、工商行政管理局、公安局への抹消手続き

中国現地法人に許認可等がある場合は、許認可に応じて抹消手続を進め、そののち工商行政管理局の登記抹消(営業許可証の抹消)へと進めていきます。統計局、工商行政管理局の登録が抹消され、最後に公安局の会社員登録が抹消されて清算手続きを終えることになります。

 

(5) 清算手続きにおける留意点

中国現地法人の清算手続きは、原則として最低でも7か月、長くて1年必要です。なお、当局との抹消交渉が長引いてしまうと清算期間が12か月を過ぎてしまうこともあり、その際は再度法定監査を受ける必要がありますのでご注意ください。簡易清算という方法もあり、要件に合致すればこの方法を採用できるため、その場合は5か月ほどで清算手続きを終えることもできます。簡易清算については別のブログにも掲載していますので当サイトより検索してみてください。

 

※中国現地法人の清算手続きは、別のブログ記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

中国|中国の現地法人の撤退(清算)手続きについて」(GERBERA Q&A BLOG)

 

中国現地法人の休眠手続き

中国の会社の休眠は、日本の会社の休眠とはその内容が少し異なります。日本の場合、休眠に入った会社は、利益が出ないから国税は生じず、本店所在地によっては法人住民税(均等割)も免除されます。これに対して、中国の場合は、増値税や個人所得税の申告が必要で、完全に停止というものとは異なるのが特徴です。

 

(1) 登記住所について

清算と違って休眠は会社が残りますので、本店所在地をどこにしておくのかが気になるところです。実は休眠の場合は、賃貸契約が切れたとしても、直前の本店所在地としておくことができます。新たに契約をし直す必要はありません。ただし、休眠を解除する際には新たに賃貸契約を締結したり、住所変更をしたりしなければなりません。

 

(2) 工商行政管理局への申請

休眠の場合でも、工商行政管理局への休眠申請が必要となります。もし休眠登記をせずして休眠をし続けると、登記の更新や上記の登記住所、そして税金の面面で、悪影響が生じてしまいます。

もし工商行政管理局に休眠登記をせずしてずっと税務局に対してゼロ申告をしていると、半年以上その状態が続けば審査され、清算命令が出される可能性があります。これを回避するには休眠手続きを進めるしかなく、休眠登記をすることで3年間は合法的にゼロ申告が可能となります。(延長も可能です。)

 

(3) 税務局への対応

休眠手続きの場合、税務局に対しては、清算と違って特に何もする必要はありません。ただし、増値税と個人所得税についてはゼロ申告を続ける必要があり、こちらは当社もリーズナブルに代行させていただいています。

増値税や個人所得税は発生しなくても申告が必要で、申告は原則として毎月必要ですが、増値税は3ヶ月に1回とすることも可能です。財務監査は行わず、工商局監査(年度更新)と税務確定申告は必要です。銀行は休眠中でも動かすことは可能ですが、報酬が発生するのは控える必要があります。

 

※中国現地法人の清算手続きは、別のブログ記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

中国|中国情報:2022年中国現地法人の休眠について」(GERBERA Q&A BLOG)

 

私どもガルベラ・パートナーズグループは、日本国内では税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人を中心に東京、大阪、名古屋、福岡に拠点を置き、海外では中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、アメリカなどに現地法人を展開し、日本企業の海外進出や撤退を税務・労務・法務のあらゆる面でサポートしています。

 

やむなく中国からの撤退・清算・休眠をお考えの場合は、ぜひご相談ください。リーズナブルで、最短のプランをご提案申し上げます。

また、中国以外にもアジア各国とアメリカに現地法人がありますので、海外法人の会社設立や会計税務、労務、法務についての情報収集や手続きにぜひ弊社現地法人をご活用ください。

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