GERBERA PARTNERSブログ

アメリカ|アメリカの失業保険の仕組みを教えてほしい!

2019/09/30

Q、アメリカの現地法人ではじめて社員を雇用するのですが、アメリカの失業保険は被保険者の資格取得届を提出する必要はなく、失業保険を受給する際にあとから申請すればいいと聞きました。アメリカの失業保険について、詳細を教えていただけますか?

  A、アメリカの失業保険は、連邦失業税、社会保障法及び各州法を根拠法とし、州政府が主体となって運営し、連邦労働省雇用訓練局が監督を行っています。アメリカ失業保険の受給要件や保険料、受給期間などの詳細は、以下に解説します。  

解説(公開日:  最終更新日:

 

アメリカの失業保険の特徴は、連邦失業税法及び社会保障法に基づき、各州が独自のプログラムで運営しているということです。

 

各州それぞれ独立したプログラムを運営しているものの、連邦政府のガイドラインを根拠としていることもあり、給付対象、給付期間、給付額等の基本的項目については、各州最低限の水準が確保されているといえます。

 

各州とも給付についてはインターネット又は電話で申請できますが、居住している州と働いていた州とが異なる場合は、働いていた州(失業保険税が納税されていた州)に対して給付申請を行い、その働いていた州の規定に基づいて失業保険を受給することになります。

 

1.連邦失業保険税

連邦失業保険税の対象となる事業主は以下の①又は②の事業主です。(農業は少し要件が異なります。)

  1. ①当該年又は前年のいずれかの四半期に合計 1,500ドル以上の賃金を支払っている
  2. ②1人以上の労働者を暦年で 20週以上雇用している。
 

2.失業保険の適用除外

連邦・州・地方の政府機関で働く者、外国政府・国際機関で働く者、一部の非営利団体、インディアンの部族等は対象外とされています。ただし、州の失業保険制度については、州・地方政府で働く者、一部の非営利団体、インディアンの部族を対象とすることを義務づけられています。

この他、連邦法上での規定はないものの、連邦失業保険税の対象となる者は州の失業保険税を支払うことで連邦失業保険税の 5.4%分が控除されるため、多くの州では連邦失業保険税を納める事業主は、州の失業保険制度の対象事業主とされています。

 

3.対象労働者

アメリカ失業保険の対象労働者は、失業保険税を支払っている事業主に雇われている者で、日本の失業保険と違い、大部分の州では役員も含まれています。入社時の「被保険者」の届出等は特になく、受給要件に事後的に該当すれば受給することができます。

 

4.受給要件

(1)被保険者期間

アメリカ失業保険の被保険者期間は、州ごとに異なります。原則として、離職前の直近 5四半期のうち、最初の 4四半期間の算定期間のうち2四半期について賃金の支払いを受けており、賃金が一定額以上あることとされています。なお、賃金の条件は多くの州で 1, 000ドルから 4,000ドル程度で設定されています。

期間の条件については、多くの州で、直近4四半期間など、別の算定期間内で一定の雇用期間及び給与所得があれば受給が認められています。なお、ワシントン州を除き、労働時間は受給要件とされていません。

(2)離職理由

離職理由としては、懲戒解雇又は自己都合でないことが挙げられますが、自己都合であっても正当な理由があると認めらる場合は受給が認めらます。

(3)求職意欲

日本と同じく、求職の能力及び意欲があることも受給要件となっています。

 

4.給付期間

アメリカ失業保険の給付期間については、特に連邦法では定めがなく、州ごとに定められています。アメリカ失業保険の給付期間の上限は、大部分の州で 26週を上限としていますが、たとえばフロリダ州では12週、マサチューセッツ州では30週など特例もあります。失業率が高い場合には州法に基づき延長給付が13週又は20週追加で支給されることとされています。

 

5.給付水準

アメリカ失業保険の給付水準は州ごとに異なりますが、多くの州で州失業保険税の課税対象となった週当たり賃金の平均の5割程度の額とされており、最低額及び最高額の定めがあります。

 

6.待期期間

アメリカ失業保険の待期期間は、州により異なりますが、0~1週間です。

 

7.失業保険税の保険料

(1)連邦失業保険税:

アメリカ失業保険の連邦失業保険税は、事業主のみに課されます。税率は、各暦年における年間賃金のうち 7,000ドルを超えない部分の 6.0%です。ただし、州の失業保険税を期日までに納めている場合には原則として5.4%が控除され、適用される州の失業保険税率に関わらず0.6%となります。

(2)各州の失業保険税:

アメリカ失業保険の各州における失業保険税は、3州を除き、事業主のみに課されます。各州の失業保険税率は州ごとに異なり、かつ、雇用者給付実績、レイオフ実績等に応じて事業所ごとに異なります。また、課税対象となる賃金の上限は各州により異なります。2018年の事例でいうと、州失業保険税の全米平均税率は、課税対象賃金の2.05%、賃金総額の0.53%です。

         

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