GERBERA PARTNERSブログ

労働安全衛生|令和8年8月改正!産業医の辞任の場合にも報告が必要に

2026/07/30

Q、令和8年8月から産業医が辞任・解任した場合にも報告が必要になると聞きました。どのような手続きが必要になりますか。



A、従来は産業医を「選任した時」のみ報告義務がありましたが、労働安全衛生規則の改正により、令和8年8月1日以降は選任に加えて産業医の「辞任、解任または退任(辞任等)」があった場合にも、遅滞なく所轄の労基署長へ報告することが義務化されます。


解説(公開日:2026/07/30)

 

■ 改正の背景と概要

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労働安全衛生法に基づき産業医を選任し、所轄の労働基準監督署(労基署)へ報告することが義務付けられています。労働安全衛生規則の改正により、令和8年8月1日以降は選任に加えて産業医の「辞任、解任または退任(辞任等)」があった場合にも、遅滞なく所轄の労基署長へ報告することが義務化されます。
この「辞任等」には、産業医側からの申し出による辞任、事業者による解任、任期満了等による退任が含まれます。

改正の背景としては、従来は選任時しか報告義務がなかったため、辞任後に後任が選任されないまま放置されるケースを労基署が把握しにくいという課題がありました。今回の改正は、そうした未選任状態を防ぎ選任を促す仕組みとして導入されたものです。なお、事業場の労働者数が50人未満となったことで産業医の選任義務がなくなった場合の辞任等については報告義務はありませんが、選任状況の適切な把握のため報告することが望ましいとされています。

■報告の実務手続き

辞任等が発生した際の実務手続きは、後任の産業医をすぐに選任できるかどうかによって報告フローが異なります。
(1)
後任者を速やかに選任できた場合
後任の産業医を選任し、従来の選任報告を行う際に前任者の辞任等の情報を併せて記載して提出すれば、別途単独での辞任等報告は不要となります。
(2)
後任者をすぐに選任できない場合
後任者が決まっていない場合は、辞任等の事実(辞任等した産業医の氏名および辞任等の年月日など)を別途、遅滞なく労基署へ報告しなければなりません。
従来の選任報告様式において、前任者氏名や辞任・解任年月日を記入して提出します。

報告方法は、原則として電子申請(e-Gov電子申請や「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」)となりますが、端末環境が整っていない場合などは経過措置として当分の間、書面による報告も認められています。

■社内対応フロー

産業医の辞任等が生じた場合、行政への報告だけでなく、社内での適切な手続きと体制の維持が必要です。
(1)
産業医の辞任等があった場合、事業者は当該日から14日以内に新たに産業医を選任しなければなりません。
(2)
衛生委員会等への報告:産業医が辞任した時、または解任した時は、遅滞なくその旨および理由を衛生委員会または安全衛生委員会(衛生委員会等)へ報告する義務があります。
理由が産業医本人の健康問題など機微な内容である場合は、プライバシーに配慮し本人の意向を確認した上で「一身上の都合により」等と記載することが推奨されます。

■産業医解任時の注意点

事業者側から産業医を解任する場合や、後任選任が遅れる場合には、法令上のリスクが生じます。

産業医が不在の期間中は、長時間労働者への面接指導、ストレスチェック後の面接指導、健康診断実施後の医師からの意見聴取などの法的義務を果たせない状態になります。また、定期健康診断結果報告書には産業医の氏名記載が必要なため、未選任状態が発覚する原因にもなります。辞任等が見込まれる場合は、事前に後任の確保を進めておくことが不可欠です。

※産業医が労働者の健康確保のために行った勧告・指導・助言を理由として、産業医に対し解任その他不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。会社側の意に沿わない意見を出されたからといって解任することは認められません。

また、労働者数50名以上の事業場では、定期健康診断を実施したときは遅滞なく定期健康診断結果報告を所轄の労基署に提出する必要がありますが、この報告には産業の氏名を記載しなければなりません。産業医が選任されていなければ当然この欄が空欄となり未選任が発覚するリスクも想定されます。

■健康管理体制を総点検しましょう

今回の改正を契機に、事業者には産業医が実効性をもって活動できるよう健康管理体制全体の総点検が求められています。
健診や面接指導後の措置内容、1か月あたり80時間を超える時間外・休日労働者の氏名および当該時間に関する情報などを産業医に提供する義務があります。
産業医からの勧告を尊重するとともに、勧告を受けた際は遅滞なくその内容および講じた措置を衛生委員会等に報告し、記録を3年間保存する必要があります。
産業医の業務内容、健康相談の申出方法、心身の情報の取扱方法を、掲示やイントラネット等を通じて労働者に周知することが必要です。

 

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