GERBERA PARTNERSブログ

社会保険|「高額療養費制度」改正を詳しく解説!

2026/09/02

Q、高額療養費の制度がややこしくなりました。わかりやすく教えてください。



A、令和8年8月から高額療養費制度が見直しされました。長期にわたり治療が必要な方のセーフティネットが強化され、新しく「年間の上限額」が導入されました。(多数回該当による負担軽減は据え置きのままです。)また、年収200万円未満の多数回該当の金額を引き下げるなど、低所得者への配慮も同時に実施されています。本文で、更にくわしく解説します。


解説(公開日:2026/09/2)

  高額療養費制度は、医療費の自己負担を抑えるセーフティネットです!

そもそも「高額療養費制度」とは☝

ひと月に医療機関に支払った額が高額になった場合に、定められた上限額を超えて支払った額を払い戻す制度です。(毎月の上限額は、個人や世帯の所得に応じて決まっています。)

この度、医療費の伸びへの対応と制度の持続可能性を高めるため、令和8年8月と令和9年8月の2段階に分けて「高額療養費制度」の見直しが行われます。長期療養者や低所得者への配慮を行いつつ、年単位の上限額の新設や、所得に応じた負担区分の細分化などが実施されます。

「高額療養費制度」の見直しと、制度利用時の「マイナ保険証」「限度額適用認定証」について解説します。

①令和8年8月からの「高額療養費制度」の変更内容(第1段階)

「年間上限(年単位の上限額)」の新規導入

月ごとの自己負担額が積み重なっても、新たに設定された「年間上限」に達した後は、それ以上の支払いが不要(還付)になります。長期療養者のセーフティネット機能が大幅に強化されます。

月単位の負担限度額の見直し

一人当たり医療費の増加に伴い、一部区分の月額自己負担限度額が引き上げられます。
例:一般的な所得層(年収約370万円未満の一般区分)の月額上限が、57,600円から61,500円に改定されます。

70歳以上の外来特例の見直し

住民税非課税区分に対して、新たに「外来年間上限」が導入されるなどの配慮がなされます。

②令和9年8月からの「高額療養費制度」の変更内容(第2段階)

所得区分の細分化(応能負担の強化)

所得に応じた負担の公平性を保つため、標準報酬月額に基づいた所得区分がさらに細かく分類されます。

低所得者層(年収200万円未満)への負担緩和

住民税非課税ラインをわずかに上回る年収200万円未満の方を対象に、年4回目以降の負担が軽くなる「多数回該当」の限度額がさらに引き下げられます。
例:多数回該当の自己負担限度額が、44,400円から34,500円に減額されます。

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)厚生労働省HPより

③ 医療費が毎年高くなる人に朗報!新設される「年間上限」とは?

今回の法改正の最大の変更点「年間上限」を詳しく説明します。これまでは「月ごと」の限度額しかありませんでしたが、今後は年間の医療費の自己負担が一定の額に達した場合、それ以上の支払いは不要(還付)となります。

ex)一般的な所得層である年収約370万〜770万円の区分ウの上限は、年間53万円
具体的に、国が示す2つの事例を見てみましょう。

ケース① これまで「多数回該当」に該当しなかった場合

〜毎月医療費がかかり続けていた方〜

〇どんな人が対象?

高額療養費には、年4回以上限度額に達すると自己負担が下がる「多数回該当」という仕組みがあります。しかし、「月々の上限額(約8万円など)にはギリギリ達しない程度の医療費(毎月7万円台など)」がずっと続く人の場合、多数回該当の減額対象にはならず、年間で非常に重い負担になっていました。

〇見直しでどう変わる?

月々の支払いが「月ごとの限度額」に届かない月が多くても、年間で支払った総額が「年間上限」に達した時点でストップがかかります。
具体的な軽減例(年収約370万〜770万円の場合)
見直し前:毎月7.4万〜8.0万円の自己負担が1年間続き、年間自己負担は 76.7万円。
見直し後:支払いの累計が 53.0万円 に達した時点で、それ以上の支払いは不要になります。

👉 差し引きで【年間 約23.7万円の負担軽減】となります!

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)厚生労働省HPより

ケース② 極めて高額な医療を受けた場合

〜がんの最新治療などで、総医療費が数千万円レベルに膨らんだ方〜

〇どんな人が対象?

高額療養費の月額上限は一律ではなく、「基本の限度額 + (総医療費 − 基準額) × 1%」という計算式になっています。この「1%部分」があるため、年間1,500万円近く(例:資料のモデルケースでは年間の総医療費が1,488.0万円)かかるような極めて高額な最新治療等を受けると、1%部分だけでも支払いが大きく跳ね上がっていました。

〇見直しでどう変わる?

月々の1%上乗せによって自己負担額が一時的に大きく膨らんでしまったとしても、「年間上限(53.0万円)」という負担の上限があるため、それを超えた分はすべて医療費の支払いは不要となります。

〇具体的なメリット

いくら医療費(10割分)が1,400万円以上に高額化しても、年間の支払いは53.0万円が上限となるため、治療費の高さによって家計が破綻するリスクを完全に防ぎ、安心して最善の治療を選択できるようになります。

出典:高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)厚生労働省HPより

④ 高額な医療費を窓口で抑える「2つの方法」:マイナ保険証 vs 限度額認定証

窓口での支払いを自分の所得に応じた「自己負担限度額」までに抑えてくれる仕組みが「限度額適用認定証」です。以前は「事前に申請書を郵送して、紙の認定証をもらう」のが必須でしたが、現在は「マイナ保険証」を使うことで、この面倒な事前手続きが原則不要になっています。
どちらを使うべきか、それぞれの特徴と違いをスッキリ整理しましょう!

方法①:一番カンタン!「マイナ保険証」を利用する(事前申請は不要)

健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカード(マイナ保険証)を持っている場合は、事前の準備は一切いりません。

〇どうすればいい?

医療機関の窓口(受付)にある読み取り機にマイナ保険証をかざし、同意ボタンを押すだけです。

〇仕組み

システムの「オンライン資格確認」を通じて、あなたの所得区分(限度額の情報)が医療機関へ自動的に提供されます。そのため、最初から窓口での支払いが自己負担限度額までになります。

〇メリット

事前に役所や協会けんぽへ書類を申請・郵送する手間がゼロ。
「急に今月入院することになった」という時でも、その場ですぐに使えます。

方法②:従来の方法!「限度額適用認定証」を事前申請する

マイナ保険証を持っていない、または使えない環境にある場合は、事前に健康保険組合や協会けんぽ等へ「限度額適用認定申請書」を提出し、紙の認定証を発行してもらう必要があります。

〇どうすればいい?

加入している保険者(協会けんぽ等)のHPなどから「限度額適用認定申請書」を入手し、記入して郵送(または電子申請)します。
後日、手元に届いた紙の「限度額適用認定証」を、医療機関の窓口へ提示します。

⚠️ 今でも「事前申請(紙の認定証)」が必要になるのはどんな人?

  • 1.受診する医療機関が、マイナ保険証(オンライン資格確認)に対応していない場合
  • 2.お使いの健康保険(協会けんぽ等)に、自身のマイナンバーの登録がまだ完了していない場合
  • 3.マイナンバーカード自体を持っていない、または健康保険証としての利用登録をしていない場合
  • 4.【重要】低所得者区分に該当する方 住民税非課税などの低所得者区分に該当する方は、マイナ保険証を利用する場合であっても、食事代等の減額も兼ねた「限度額適用・標準負担額減額認定証」の事前申請が必要になります。

💡注意点

令和9年8月に所得区分の再見直しが控えているため、令和8年8月以降に交付される「限度額適用認定証」の有効期限は、最長でも令和9年7月31日までとなります。それ以降も利用する場合は、再度申請手続きが必要になる点にご注意ください。

どこに確認すればよいかわからない。という方は、健康保険証に記載されている「保険者」もしくは厚労省のコールセンターにお問い合わせください。


出典:令和8年8月から高額療養費制度が見直されます(リーフレット)厚生労働省HPより

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