GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|障がい者雇用率2.7%へ 採用の前に社内でできること

2026/10/30

Q、障がい者の法定雇用率が2.7%に引き上げられ、従業員38名の当社も新たに雇用義務の対象となりました。採用を考える前に、今いる社員の中に障害者手帳を持っている人がいないか確認したいと考えています。本人に直接聞いてもよいのでしょうか。



A、特定の社員を名指しして尋ねるのは、原則として避けてください。厚生労働省のガイドラインでは、社員全員に同じ方法で申告を呼びかけることが原則とされています。利用目的をはっきり示し、本人の同意を得たうえで、情報を慎重に管理することが大切です。


解説(公開日:2026/10/30)

 

■障がい者の法定雇用率2.7%への引き上げで、何が変わった?

2026年7月1日から、民間企業の障がい者の法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられました。
これにより、障がい者を1人以上雇う義務のある会社が、従業員40.0人以上から37.5人以上に広がりました。

制度の全体像や、未達成の場合の納付金・行政指導の流れは、過去の記事でご紹介しています。
(関連記事)会社は障害者の法定雇用率を達成できなかったときどうなるの?
https://gerbera.co.jp/blog/p02/a08/theme-10895/
今回は、採用を検討する前に社内を確認する、という視点でお話しします。


■なぜ社内の確認から始めるの?

障がい者の中には、障害者手帳を持っていても会社に伝えていない人が少なくありません。
特に精神障害者保健福祉手帳は外見から分かりにくく、入社後に取得するケースもあります。

障害者雇用状況報告で数えられるのは、会社が手帳などを確認できた障がい者だけです。
申出がなければ、実際には障がい者を雇用していても「0人」として扱われてしまいます。

令和8年7月の改正により法定雇用率が2.7%に引き上げられて新たに対象となった会社は、2027年6月1日時点の状況を7月15日までに報告します。
この最初の報告に向けて、早めに社内の状況を整理しておきましょう。


■障がい者の把握、名指しで聞くのは原則NG

厚生労働省は「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」を定めています。
採用後に障がい者を把握する場合は、社員全員に同じ方法で呼びかけるのが原則です。

次のような情報をもとに、特定の社員に手帳の有無を尋ねるのは不適切とされています。

  • ・上司に個人的に相談した健康の悩み
  • ・同僚が受けた印象や職場のうわさ
  • ・健康診断の結果や、健康保険のレセプト

年末調整で出された障害者控除の書類や、休職時の診断書にも注意が必要です。
本人の病状や受け止め方によっては、尋ねること自体が本人の意に反するおそれがあります。

例外として、本人が支援制度の利用を自ら申し出た場合などは、個別に確認できます。
その場合も、なぜ本人に尋ねるのか、理由をきちんと伝えましょう。


■全員への呼びかけ、どう進める?

呼びかけは、全員への一斉メールや社内報、チラシの配布など、同じ方法で行います。
パソコンを使えない社員がいるのにメールだけで済ませるのは不適切です。
特定の部署にだけチラシを配るのも避けましょう。

呼びかけ文には、次の事項を盛り込みます。

  • (1)利用目的(雇用状況報告、納付金の申告、調整金・報奨金の申請)
  • (2)報告などに必要な情報の内容
  • (3)原則として毎年度利用すること
  • (4)等級の変更や手帳の有効期限を確認する場合があること
  • (5)手帳の返却や等級の変更があれば申し出てほしいこと

あわせて、業務命令ではなく申出は任意であることも明記してください。
申出を理由に不利益な扱いはしないことも伝えると安心につながります。
通院への配慮や相談窓口など、社内の支援策も一緒に案内するとよいでしょう。


■申出があった後の管理も大切

申出があったら、利用目的への同意を書面でもらっておくと安心です。
この同意は、ほかの書類に紛れ込ませず、別の手続きとして説明してから得ましょう。

集めた障がい者の情報は、取り扱う担当者を最小限にし、ほかの個人情報とは分けて保管します。
障がい者であることを確認した書類は、退職などの日から3年間保存する必要があります。

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年です。
更新の確認は必要最小限の頻度にとどめ、理由を伝えたうえで行いましょう。

なお、手帳の取得を勧めたり、回答を何度も迫ったりしてはいけません。
申出をしないことを理由とした解雇などの不利益な扱いも禁止されています。


■まとめ

法定雇用率の引き上げを受けて、まず障がい者の採用を考える会社は多いと思います。
ただ、その前に社内の障がい者の状況を正しく把握することが、無理のない第一歩です。

障がい者雇用で大切なのは、社員のプライバシーを守りながら進めることです。
進め方を誤ると、社員との信頼関係を損ねかねません。

ガルベラパートナーズでは、社内向けの呼びかけ文や同意書の文例をご用意しています。
障がい者雇用を進めていくうえでご相談があれば、どうぞお気軽にご相談ください。


 

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