2021/05/14
A、一般的に言われている名義変更プランとは、会社から個人へ名義変更する時に、個人が会社から低い解約返戻金で買い取り、その後、個人で保険料を払うと解約返戻金が大幅に増えるので、そのタイミングで保険解約を行い解約返戻金を得ることで、それは個人の一時所得となり、税負担を軽減するスキームです。
名義変更プランとは、会社契約の保険を個人名義に変更する際、給与として所得税の課税対象になる金額(=買い取り金額)が、現行法では解約返戻金とすることになっているので、これを逆手に取ったスキームです。
具体的には、契約当初の数年間は解約返戻金を低くし、その後急激に解約返戻金が高まる様に作られた保険(低解約返戻金型生命保険)を使います。解約返戻金の低い時点で会社契約から個人に名義変更をし、その翌年、解約返戻金が大幅に引きあがる際に、個人がその保険を解約し多額の解約返戻金を受け取ります。
解約時の課税関係ですが、これは一時所得となります。受け取った解約返戻金から必要経費(個人で払った分)を差し引き、更にそこから50万円を控除した残額に2分の1を掛けた金額が一時所得になるため、給与収入が大きい社長には非常に興味を引くスキームでした。給与でその収入を得ようものなら一時所得の2分の1課税の仕組みを利用できないため、個人の税負担が明らかに増えます。
前々から懸念されていたことですが、ついにこのスキームにも国税庁のメスが入りました。今回の見直しが検討されているのは,名義変更時の給与課税すべき(=買い取るべき)金額です。
具体的には,解約返戻金が会社の資産計上している保険料の7割未満の場合は,「資産計上額」で評価する(=買い取る)ように見直す方向で検討がされています。2019年に新設された保険料の一部を資産計上する取扱い( 法基通9-3-5の2 )の適用を受ける保険が見直しの対象です。さらに、今回の改正は2019年7月8日以後締結された保険契約に適用するという、過去に契約した分までも遡及適用する国税庁としてはかなり稀な対応となっております。ちなみに、2019年7月8日前に締結された保険契約は原則、現行での取り扱いとなります。
また、今回の見直しは2021年7月1日以後に低解約返戻金型生命保険を個人に名義変更した際に対象となりますので、同日前の名義変更は現行での取り扱いとなります(これもかなり稀だとは思います)。
しかし、ここから先もまだ懸念事項があります。
その他の法人税基本通達の取扱いにより保険料の一部を前払保険料に計上する「解約返戻率の低い定期保険等」や,「養老保険」などは,今回の見直しの対象にならなりません。しかし,保険商品の設計等を調査したうえで,今後,「解約返戻率の低い定期保険等」や「養老保険」などについても,見直しの要否を検討するとしているので今後も注意が必要です。
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