2019/06/10
消費税法上、課税仕入(他人へ支払った消費税は御上に払う消費税から控除ができることをいいます)の要件を満たすためには、カード利用明細書の保管だけでは無理があります。一体、何に使ったのか、何を買ったのかが明確にはわからないことから、消費税上の要件を満たさないためです。
やや視点を変えて申しますと、カード利用明細書に自身が取引内容を詳細に記載していても、完全に客観的な証明ができていることにはなりません。
専門的にはなりますが、消費税法第30条第1項~第9項までのうち、第1項、第7項、第8項、第9項が今回の回答の法的根拠となります。
消費税法第30条第9条には、今回のケース(クレジットカード利用)で言う課税仕入が成立するためには、以下のイ~ホの要件を具備しておかないといけないと記載がされています。
カード会社から発行される利用明細書は、A.利用店が発行したものではない、B.カード利用の内容が明記されていない、という点でそもそもこれは、消費税法上の要件不足となります。
回答の「①」「②」「③」のうち、「①」はカード会社より当然交付されますが、「②」と「③」は利用店より発行される時、されない時、非常にマチマチです。
ここで「②」に着目してみます。利用店が発行する利用控えは、明確な取引内容がそもそも不明です。単に「売上」等としか記載がされていません。これでは上記「ハ」の要件を完全に満たしているとは言い難い側面があります。やはり、何を購入したのかがわかりやすい「③」の領収書は必要になるのではないかと考えます。
従いまして、否認リスクが低い順位としては、
が言えるかと思います。
実際には3位の「①+②」でも問題ないとおっしゃっている先生もおられますが、私見としては、1位「①+②+③」か、2位「①+③」をお勧めいたします。
最後に、所得税法や法人税法の方も気になりますが、これらについては消費税法の様な書類の発行要件のような細かい事までは記載がされておりません。要するに、必ずしも領収書がなければ経費にできないということはないという事です。
実際にお金を支払った(経費を支出した)ことが明らかであり、その支払いの内容が間違っていなければ、たとえ領収書がなくても経費にできることになっておりますが、基本は領収書の保管があったほうがいいのは言うまでもありません。
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