2017/09/25
A、ビットコインの運用で発生した利益は所得税の課税対象となりますが、所得区分は雑所得となり、税率は所得金額に比例して増加し、他の所得の損失とは通算ができないなどの特徴があります。また、年末調整をしている給与所得者も、この所得が20万円を超える場合には確定申告が必要となります。
近年、インターネットで電子的に取引される仮想通貨は、法定通貨ではないものの、支払手段として利用できる財産的価値のあるものとして位置付けられています。その仮想通貨の中でも代表的な“ビットコイン”の価格の跳ね上がりが大きいため、投機の対象となっており取引に注目が集まっているのが現状といえます。
その仮想通貨取引が活発化する中、国税庁がこの取引の課税関係を示しましたのでご紹介します。
国税庁が開設するタックスアンサーで、個人が運用して得たビットコインに係る経済的利益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は原則、雑所得に該当することを明らかにしました。総合課税の雑所得に区分されるため、ビットコイン同士の損益では通算(他の損失との相殺)ができ、また同じ雑所得の区分である年金所得などからも通算ができます。ただし、上場株式やFX(外国為替証拠金取引)との通算はできませんし、その年に発生した損失を翌年以降に繰り越すこともできません。
また、雑所得は給与所得などと合わせて最大55%(住民税含む)の超過累進課税(所得が増加するにつれ税率が増加)の対象となります。この点、上場株式やFXによる売却益は他の所得と分離して一律20%(住民税含む)の課税となります。
なお、個人事業を営んでいる人が、仮想通貨に係る取引をその事業に付随して行っていると認められるときは事業所得とできます(損失が発生した場合、損益を通算することが可能です)。
国税庁の解説では「ビットコインを“使用することで”生じた利益」は課税対象とするとしています。この“使用”には、売買によるビットコインを日本円などに換金した場合だけでなく、ビットコインで資産を購入(交換)、別の仮想通貨とのトレード、ビットコインの採掘も該当し、いずれも値上がり益などに課税されます。
なお、所得金額の計算上必要経費を控除できますが、例えばビットコインの換金などにかかる手数料が必要経費として想定されます。
所得税では、その年に給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を下回る場合、確定申告は不要とされています。つまり、ビットコインに係る所得が20万円以下で、給与所得以外の所得がないサラリーマンが年末調整を受けた場合、所得税の確定申告をする必要がないということになります。ただし、医療費還付を受ける場合や、住宅ローン控除を新たに受ける場合で確定申告をするときは、ビットコインに係る所得が少額であっても申告書に記載が必要となります。
これまで取り扱いがはっきりしていなかったため申告をしていなかった人も多いと思われます。来年の確定申告では特に注意が必要となりそうです。
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