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労務管理|労基署調査 是正勧告書と指導票の違いについて

2021/10/01

Q、労働基準監督署の調査を受けたあと、「是正勧告書」と「指導票」の2枚が出されました。それぞれの違いとどのように対応すべきか教えてください

A、法令違反の状態にあるときに交付されるのが「是正勧告書」、労働法令に明らかに違反しているとはいえないものの、法令の観点から今の状態から改善が望ましいという時に交付されるのが「指導票」です。是正勧告書と指導票とで対応が異なる場合があります。

 

解説(公開日:2021/10/01  最終更新日:2022/04/11 )

 

労基署は調査終了の際、法令違反もしくは法令上改善が望ましい状態である企業に対し、「是正勧告書」と「指導票」という2つの書面を交付することがあります。そして企業は書面が交付された時は、改善策を講じ期日までにその内容を報告する義務があります。今回はこの2つの書面の違いや実際の対応などについて、以下のとおり解説致します。

 

1.是正勧告書

労働基準法や労働安全衛生法などに基づき、現状の企業の運用において法令違反が存在している時に交付されます。労働基準法や労働安全衛生法については、実に多くの取り決めがありますが、特に是正勧告が出やすい違反項目の一例については以下のとおりです。

  1. ・36協定を労基署へ提出せずに従業員を時間外労働や休日労働をさせている。もしくは36協定で定めた時間外労働時間数を超えて時間外労働をさせている
  2. ・残業代(割増賃金)の未払いがある
  3. ・就業規則、労働条件通知書(もしくは雇用契約書)、労使協定など労働基準法で定める
  4.  労務関連書類の作成をしていない。または記載内容に不備がある。または労基署へ提出すべき書面の提出をしていない
  5. ・安全管理体制が不十分である
     (安全管理者・衛生管理者・産業医などが選任されていない。安全衛生委員会・衛生委員会が開催されていない など)
  6. ・健康診断の実施および管理が不十分である
     (健康診断が実施されていない。健康診断の実施後異常の所見がある従業員について、医師の意見を聴いていない など)

昔は残業代の未払いや36協定で定める時間以上の時間外労働をさせているなどの項目を中心に是正勧告を受けることが多かったです。しかしながら最近では残業代未払いや時間外労働の項目はもちろんのこと、健康診断の運用状況や安全管理体制の不備についての是正勧告など、多岐にわたり是正勧告を受けることが多くなりました。また運用上の細かい点においても法令上不備があれば是正勧告されることが多くなりました。

 

2.指導票

上記の是正勧告書とは違い、企業の現状の運用において法令違反とまではいえないものの、改善することが望ましいときに交付されるものが指導票です。

特に指導票が交付されやすい事案の一例は以下のとおりです。

  1. ・勤怠記録が事実と疑わしいとき
  2. (例)出勤、退勤の時刻が毎日同じ時間が並んでいる。
    勤怠記録と勤務事実が異なる可能性がある(例えばパソコンのログ時刻と勤怠の記録の時刻とで大きく乖離があるなど、記録の整合性があわない など)

  3. ・1ヶ月45時間以上の時間外労働が発生している
  4. ・長時間労働者に対して、例えば従業員に対して面接指導などを行うなどの、従業員の安全や衛生を守るための体制が構築されていない

特に近年では1ヶ月45時間以上の時間外労働が発生している場合は、漏れなく指導票が交付され、1ヶ月の時間外労働が45時間以内となるような施策を講じることという指導がなされます。これは36協定で定める時間外労働の時間数の範囲内であってもほぼ確実に指導される項目となっています。

 

3.対応のポイント

上記までで解説しました通り、是正勧告書と指導票では指導の意味合いが異なります。よってそれぞれ分けて対策を考えて、対応することが重要となります。

 

まず、「是正勧告書」については、既に法令違反の状態になっていますので、是正勧告で指摘された事項については、法令違反の状態を改善し、報告する必要があります。

例えば残業代未払いについて是正勧告書が交付されたのであれば、対象労働者について未払い残業代を支払い、その後に是正した報告が必要となります。また、他にも36協定で定める時間数を超えて残業させている場合については、36協定で定める時間数以内に時間外労働を抑える必要があります。特にこの時間外労働については、最近の調査では改善されるまで数か月に亘って勤怠記録の提出を求められることもありますので、しっかりと改善をする必要があります。

 

次に「指導票」ですが、こちらについては直ちに法令違反の状態であるということは少なく、運用上改善が望ましいという状態です。よって是正勧告書と違って、指導内容によっては、「対応できません」という報告をすることも可能です。但し、現状の運用が法令上望ましくない状態ではありますので、指導票の中身をじっくり社内で検討のうえ、取り組めることはしっかりと取り組んだ報告をすることが望ましいです。また、現状としてすぐに改善していくことが難しく、時間をかけて検討したい事項については、「今後検討致します」と回答することも指導内容によっては可能です。

 

4.まとめ

労基署からの調査が終了した場合に交付されるこの「是正勧告書」「指導票」ですが、指摘された項目を社内でしっかり検討、対応し、報告することが肝要です。この報告に至る対応が誠実か否かで企業に対する労基署の印象が変わることもあります。また、是正勧告を無視する。全く改善せずに虚偽の報告をするなど、不誠実な対応を行うと、労基署は再度調査を実施したり、事案によっては労基署が企業を書類送検することもあり得ます。労基署調査はこの是正勧告書や指導票で指摘された項目について改善、対応し、報告するまで終わりではありません。よって、調査終了後、是正勧告書や指導票が交付された際は誠実に対応するようにしましょう。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、今までに数多くの労基署対応を行った実績から、この是正勧告書、指導票の対応、対策について企業様に合わせたサポートが可能となっております。この是正勧告書、指導票を含め、労基署対応についてお悩みの場合は、お気軽に弊社の営業案内のホームページよりお申し付け下さい。百戦錬磨の社労士がご対応させて頂きます。

 
 

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