2017/06/07
A.よく見られるインターンシップ制度は、実習として扱われており、実態からもその内容が、体験や見学といったものであれば、インターンシップの学生は労働者には当たりません。 労働者ではないため、インターンシップ期間中に起こった事故は、通勤災害とは扱われないということになります。 会社までの交通費を負担していることが、単なる費用の支給であれば、労働者の判定には影響がありません。
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そんななか、企業の本音としては、採用活動の一環としてインターンシップ制度を活用したいと思われることも多いのではないでしょうか。学生にとっても、実際に就職する前に企業を知っておきたい、体験を通して就職ミスマッチを回避したい、大学などで単位として扱ってもらえるという理由でインターンシップへの参加が当たり前のようになってきました。
インターンシップとは、一般的に学生が企業内において就労体験を行う制度をいい、近年、インターンシップ制度を採用する企業が増えています。そしてインターンシップ制度を採用する企業の増加に伴い、インターンシップに関する労働問題も増加傾向にあると言えます。
企業が、通勤災害として扱うには、まずはそのインターンシップの学生が、労働者に当るかどうかの判定が必要です。
インターンシップ実習と実際の就労とは、一見すると区別がつきにくく、制度の運用がグレーになりがちです。「インターンシップの学生は労働者に当るのか」について、通達がでており、そのなかで「使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど、使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものである」と示されています。(平成9年9月18日 基発636号)
このように労働者であるか否かの判断基準は、業務上の指揮命令を受けているかいないか、になります。
そのポイントを実際の裁判の結果から次に上げてみました。
例えば、インターンシップの実習という名目で、アルバイトと同じように勤務シフトに組み込まれているような場合は、通常の生産活動に従事していると見られて、労働者と判断される可能性は高くなります。
インターンシップの学生が労働者であると判断された場合には、労働基準法をはじめとした、労働法が適用されて、通勤災害を含む労災の対象になるだけでなく、賃金の支払いも当然必要となります。
このように、インターンシップだから、必ずしも労働者にはあたらない、とは言い切ることはできません。
インターンシップの受入れ実態をこのようなポイントに照らしみて、アルバイトとしての実習と位置付けて、雇用契約を結んでいる企業もあります。
今回のご質問は、会社に来る途中の事故ですので、インターンシップの学生が、労働者に当らなければ通勤災害ではありませんし、公共交通機関や徒歩などであれば、会社が責任を負うところではありません。
しかし、これが実習中に引き起こった事故による怪我の場合には、企業はその場を安全に管理する義務があるため、その管理が不十分であった場合には、事故と事故によって生じた損害に対して責任を負わなければなりません。
先ほどの判断で、インターンシップの学生が労働者に当る場合には、労災の対象となりますが、労働者に当らない場合には、別途の補償が必要です。
このような事態に備えて、民間の保険加入をされている企業もあります。
インターンシップ制度は、企業側、学生側にもメリットのある制度ですが、デメリットや今回のご質問のような不慮のこともあらかじめ想定して制度を作っていく必要があります。
既に制度がある場合でも見直しすることで、より安心の制度にすることもできます。
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