2021/02/03
育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度です。よって、育児休業期間中に就労することは想定されていません。
しかし、労働者と事業主の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時 的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます。
ただし、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりません。
※労働者が自ら事業主の求めに応じ、合意することが必要です。
(事業主の一方的な指示により就労させることはできません)
では、一時的・臨時的とは具体的にどういう状況なのでしょうか?
厚生労働省が「育児休業中の就労について」というリーフレットにおいて以下の例を示しています。
1 育児休業開始当初は、労働者Aは育児休業期間中に出勤することを予定していなかったが、自社製品の需要が予期せず増大し、一定の習熟が必要な作業の業務量が急激に増加したため、スキル習得のための数日間の研修を行う講師業務を事業主が依頼し、Aが合意した場合
2 労働者Bの育児休業期間中に、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の詳細や経緯を知っているBに、一時的なトラブル対応を事業主が依頼し、Bが合意した場合
3 労働者Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニアであるCに対して、修復作業を事業主が依頼し、Cが合意した場合
4 災害が発生したため、災害の初動対応に経験豊富な労働者Dに、臨時的な災害の初動対応業務を事業主が依頼し、Dが合意した場合
5 労働者Eは育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的にEが得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、Eが合意した場合
労働者Fが育児休業開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間で月20日間勤務する場合や、毎週特定の曜日または時間に勤務する場合
※これらの事例はあくまで一例です。
厚生労働省の例を見る限り、定期的に就労する場合は、一時的・臨時的な就労とは認められない可能性があります。これらの点にも注意しつつ、就労の可否を判断する必要があります。
また、雇用保険より支給される育児休業給付金に関しても就労した場合は、申告が必要です。
就労している日が10日を超える(10日を超える場合は80時間を超えるとき)場合は、育児休業給付金は支給されませんのでご注意ください。
また、上記範囲内でも育児休業期間中に賃金が支払われる金額により、育児休業給付金が減額支給される場合等もあります。
そもそも育児休業ではないと判断(恒常的・定期的な就労と判断された)された場合は、上記範囲に関わらず、育児休業給付金が支給されない可能性があります。
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