GERBERA PARTNERSブログ

労働者派遣|派遣元事業主の同一労働同一賃金への対応

2019/11/22

Q、派遣社員の同一労働同一賃金について、派遣元として準備しなければならないことを教えてください。


 

A、2020年4月1日の派遣法改正により派遣社員に対する同一労働同一賃金の制度が始まります。派遣社員の賃金決定にあたっての遵守事項が定められていますので、早めの準備が必要です。

 

解説(公開日:2019/11/22 最終更新日:2019/11/23)

 

2020年4月の派遣法改正では、派遣元は、法定の賃金決定方式を社内に導入することを義務図けられています。具体的には、「派遣先均等、均衡方式」もしくは「労使協定方式」いずれかに準拠した賃金決定が必要となります。

(概要は前掲の記事をご確認ください。『 労働者派遣|派遣社員の同一労働同一賃金ってどんなこと?』)

今回は特に多くの派遣元が導入するであろうと言われている、「労使協定方式」の賃金決定について解説します。

 

■「労使協定方式」

派遣元と労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者の間で、以下内容を含んだ賃金決定方法に関する労使協定を締結し、当該内容に則った運用を行います。

 

 <労使協定事項>

① 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲

② 賃金の決定方法(次のア及びイに該当するものに限る。)

ア 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上の賃金額となるもの

イ 派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるもの

③ 派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価して賃金を決定すること

④ 「労使協定の対象とならない待遇(法第40条第2項の教育訓練及び法第40条第3項の福利厚生施設)及び賃金」を除く待遇の決定方法(派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)との間で不合理な相違がないものに限る。)

⑤ 派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施すること

⑥ その他の事項

・ 有効期間(2年以内が望ましい)

・ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合は、その理由

・ 特段の事情がない限り、一の労働契約の期間中に派遣先の変更を理由として、協定の対象となる派遣労働者であるか否かを変えようとしないこと

 

この中で、2019年7月に厚生労働省職業安定局長より出された通達(以下、「局長通達」という。)で、②の賃金の決定方法が具体的となりましたので詳細を記載します。

 

<賃金の決定方法>

まず、①派遣社員は同種業務に従事する、一般労働者の平均的な賃金以上でなければなりません。すなわち、派遣社員用の最低基準*が設けられました。

次に②職務の内容、成果、意欲、能力、経験等の向上により賃金が改善される制度でなければならないというものです。

 

*但し、最低賃金法による最低賃金を下回る場合は、最低賃金が適用されます

 

①一般労働者の平均的な賃金との比較

同等以上であるかの判断は、以下3層ごとに行なわなければなりません。

1.基本給+手当+賞与

2.通勤交通費

3.退職金

 

以下、個別に確認していきます。

 

1.基本給+手当+賞与

派遣社員の当該給与の合算額を時給換算した金額が、職種別に定められた基準となる金額に地域係数を乗じた額以上でなければなりません。この基準となる金額は、局長通達の別添1及び2に記載されています。基準となる金額について、別添1と別添2は異なる統計から導き出された金額であり、どちらを使用するかは派遣元の自由です(但し、賃金を下げるために任意に使い分けることは出来ません。)。また、地域係数は別添3に記載され、都道府県別の係数と、管轄ハローワークの地域別の係数が用意され、こちらも自由に選択できます。

 

2.通勤交通費

以下の3パターンからの選択となります。

A.実費を支給

B.上限の範囲内で実費を支給

C.基本給に交通費相当分を上乗せして支給

 

※ Bにて上限を定める場合、上限額を所定労働時間で除した金額が72円を下回ってはいけません

※ Cにて上乗せする場合、1時間当り72円を下回ってはいけません。

※ 72円という金額は毎年変更する可能性がありますので注意が必要です。

 

3.退職金

以下の3パターンからの選択となります。

A.局長通達別添4の示された調査結果と比較し同等以上の制度を運用

B.派遣社員の給与に6%上乗せして支給

C.中退共、確定給付企業年金、確定拠出企業年金等の制度に給与の6%以上の掛金で加入

 

※ B、Cの併用も可能であり、Bの上乗せ支給額とCの掛金が合計で、給与の6%以上であること

※ 6%という割合は毎年変更する可能性がありますので注意が必要です。

 

②職務の内容、成果、意欲、能力、経験等の向上により賃金が改善される制度

これらの要素のうち、どれをどのように考慮するかは労使に委ねられていますが、少なくとも昇給の仕組みが準備され、運用されている状態が求められてくるものと考えられます。

例えば同様の内容、難易度の業務に従事していたとしても、能力や効率、正確さ等により賃金が改善される制度設計などが考えられます。こちらは、派遣元ごとに状況も異なると思いますので、各社で運用の検討が求められるところかと思います。

 

例)
等級 職務の内容 基本給・手当
1号棒 2号棒 3号棒
A
ランク
上級プログラマー
(AI関係等高度なプログラム言語を用いた開発)
1,600 1,700 1,800
B
ランク
中級プログラマー
(Webアプリ作成等の中程度の難易度の開発)
1,250 1,300 1,350
C
ランク
初級プログラマー
(Excelのマクロ等、簡易なプログラム言語を用いた開発)
1,000 1,025 1,050

 

■ さいごに

今回は、労使協定方式のみのご案内となりましたが、これだけでもかなりの負担が強いられます。2020年4月1日に向けて準備が必要となって参ります。

労使協定方式を取る場合は、2020年6月30日までに提出する事業報告書から労使協定の添付が必要となりますので、賃金制度の設計、労使協定の作成などにお困りの際はお気軽に申し付けください。

 

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