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労働者派遣|2021年度、労使協定方式に関する一般賃金

2021/01/29

Q、労働者派遣事業を行っていますが、2021年4月からの労使協定方式の一般賃金額の改定について、必要な対応を教えてください。

 

A、2021年4月より労使協定方式の対象派遣労働者に適用される一般賃金額及び地域係数等が改定されます。改定後の金額を上回る賃金水準となっているか、今一度確認がもとめられます。
なお、要件に該当した場合、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、2020年の一般賃金額を適用する特例対応も認められています。

 

解説(公開日:2021/01/29 最終更新日:2021/02/01)

     

派遣労働者に関する同一労働同一賃金への対応として、派遣労働者の賃金決定方式について労働者派遣法が改正され、2020年4月より施行されています。派遣先均衡方式を原則とした制度でありますが、労使協定方式を採用する派遣元事業所が多く存在しています。

労使協定方式では、毎年度(4月から翌3月)、各種統計に基づき公開される指数等に基づき、地域、職種ごとに一般賃金が定められ、派遣労働者の賃金が当該一般賃金以上とならなければなりません。

新年度の対応としては、原則は既に公開されている2021年度の一般賃金額額の計算に基づく運用となりますが、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、一定の条件を満たした場合、2020年度の一般賃金額を適用することができる特例も示されています。

2020年4月1日からの施行後、初めての一般賃金額の改定となりましたので、以下、改定にあたっての対応事項を解説します。

 

1.2021年度の一般賃金の適用

2021年度の一般賃金について、直接的に派遣元事業所において検討が必要な前年度からの改定事項については、下表のとおりです。

 
指数等
2020年度
2021年度
比較
能力・経験調整指数
0年
100.0
100.0
改定
1年
116.0
116.8
2年
126.9
125.4
3年
131.9
129.5
5年
138.8
136.8
10年
163.5
157.4
20年
204.0
196.8
賃金構造基本統計による職種別賃金(別添1)
※別紙のとおり
改定
職業安定業務統計による職種別賃金(別添2)
※別紙のとおり
改定
職業安定業務統計による地域指数(別添3)
※別紙のとおり
改定
一般通勤手当
72円
74円
改定
退職手当に関する調査(別添4)
※別紙のとおり
一部改定
一般退職金割合
6%
6%
(変更なし)

※別紙については、こちらをご参照下さい

 

原則として、2021年度の改定内容を、派遣元事業所ごとに締結している労使協定に反映させ、派遣労働者の賃金が2021年度の一般賃金以上となっているかの確認が必要となります。

派遣労働者の賃金が2021年度の一般賃金に満たない場合は、一般賃金以上となるような内容で労使協定を再締結する必要があります。

派遣労働者の賃金が2021年度の一般賃金以上の場合は、労使協定の有効期間が2021年3月31日までの場合は、一般賃金額を書き換えた内容で締結が必要となります。有効期間が2021年4月1日以降の場合は、労使協定の再締結までは求められず、派遣労働者の賃金額が2021年度の一般賃金額以上となっていることを確認した旨を、証跡として残しておくことが必要となります。

 

2.特例による2020年度の一般賃金の適用

2021年度の一般賃金額の適用については、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱いとして、派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的として以下の要件を満たし労使で合意した場合には2020年度の一般賃金額を適用することができる旨もあわせて公開されています。

地域や職種等にもよりますが、一般賃金額が上昇している場合も多々見受けられますので自派遣元事業所において、2021年度の一般賃金額の適用が難しい場合、特例の適用も検討されてはいかがでしょうか。

 

<特例適用の要件>

(1) 派遣労働者の雇用維持・確保を図ることを目的とするものであって、その旨を労使協定に明記している。

 

(2) 労使協定を締結した事業所及び当該事業所の特定の職種・地域において、労使協定締結時点で、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、事業活動を示す指標(職種・地域別)が現に影響を受けており、かつ、当該影響が今後も見込まれるものであること等を具体的に示し、労使で十分に議論を行っている。

事業活動を示す指標としては、例えば、労使協定締結時に雇用調整助成金の要件を満たしていることや、労働者派遣契約数や新規の労働者派遣契約数が前年同月比で継続的に減少していることなどが挙げられています。

 

(3) 労使協定2020年度の一般賃金を用いる特例を適用する旨及びその理由を明確に記載していること。理由については、(1)の目的及び(2)の要件で検討した指標を用いた具体的な影響等を記載することが求められます。

 

(4)  (1)の要件に係る派遣労働者の雇用 維持・確保を図るために講じる対応策、(2)の要件に 係る事業活動を示す指標の根拠書類及び特例による2020年度の一般賃金額が適用される協定対象派遣労働者数等を、2021年6月30日までに提出する労働者派遣事業報告書と併せて提出すること。

 

以上が、2021年4月から適用される労使協定方式における一般賃金についての説明となります。まずは、2021年度の一般賃金額を適用した場合で、協定内容を見直してみることと合わせて、特例による2020年度の一般賃金額を適用することができるか、またその必要があるのかを検討し、2021年度の開始前までに必要な対応を行うようご注意ください。

 

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