2020/07/27
A、令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が、62万円から65万円に変更される予定です。
標準報酬月額とは、給与を一定の幅で区分した標準報酬月額等級表という表に当てはめたもので、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)の保険料や給付を受ける際の給付額を決める元になる額です。標準報酬月額は原則として、入社時(社会保険の資格取得時)に決定(資格取得時決定)し、その後、毎年7月に、4月から6月までに支払われた給与を元に改定(定時決定)を行います。資格取得時決定と定時決定のほかにも、一定の要件を満たして報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合の改定(随時改定)や、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づく改定(育児休業等終了時改定)があります。
現在、健康保険(介護保険を含む)の標準報酬月額は、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までに分かれていますが、厚生年金保険の標準報酬月額は、健康保険の等級よりも少なく、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までとなっています。
たとえば、報酬月額が100万円の人については、健康保険の標準報酬月額は43等級の98万円ですが、厚生年金保険については上限に達しているため、31等級の62万円となります。令和2年9月以降については、62万円の上に65万円の等級ができるため、報酬月額が635,000円以上である方については、厚生年金保険の標準報酬月額は65万円となります。
現在(令和2年7月時点)では、改正は行われていないため、算定基礎届による定時決定も62万円を上限として行われています。
厚生年金保険の標準報酬月額の上限が変更されることに伴って、改定後の新等級に該当する被保険者の方(報酬月額が635,000円以上である方)がいる会社には、令和2年9月下旬以降に日本年金機構から「標準報酬改定通知書」が送られることとなっており、標準報酬月額の改定に際して、会社からの届出は必要ありません。
会社では、この改正により、標準報酬月額が62万円から65万円に変わる人がいるかどうかを確認しておき、令和2年10月の給与計算を行う際には、改定対象者の9月分保険料が正しく控除されるよう、設定の変更をまちがいなく行うようにしてください。
弊社では、日常的なちょっとしたご相談へのお答えから、労務問題やコンプライアンス対策まで、幅広く承っています。お困りのことがありましたらお気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。