2026/10/08
A、未更新の年度をすべて洗い出し、登記料・徴費と追加金を納付して有効な登記証を取得したうえで、指定日に出廷します。法人は正式に委任した代理人の出廷も可能です。放置せず、すぐ専門家にご相談ください。
商業登記証を更新しないまま放置していると、その会社の香港の所在地に香港東区裁判法院(Eastern Magistrates’ Courts)から「致被告傳票(Summons to Defendant)」が届きます。
日本語でいえば、被告として裁判所へ出廷するよう求める召喚状です。商業登記証の更新手続きを行わず、有効な登記証がない状態が続いていると、この書類が届きます。これは香港税務局の税務督察が商業登記条例違反として告発したことになります。
召喚状は英語版と中国語版の2通で構成され、告発の内容、違反とされる条文、告発者の氏名、出廷日時と法廷番号が記載されています。日本の感覚では役所からの督促状に見えるかもしれませんが、これは刑事手続きの書類です。同じ状況は他の日系企業でも起こり得るため、今回はその対応方法をご紹介します。
香港で事業を行う法人や個人は、商業登記条例(香港法例第310章)により、税務局の商業登記署で商業登記を行い、有効な商業登記証を保有しなければなりません。登記証には有効期限があり、1年ごと(3年登記を選んだ場合は3年ごと)に更新が必要です。
更新といっても、別に申請書を出すわけではありません。期限が近づくと、税務局から新しい登記証と納付通知書が一体になった書類が登記住所に郵送され、指定日までに登記料と徴費を納めることで更新が完了します。たとえば2026年度の通知では、登記料2,200香港ドルと徴費150香港ドルの合計2,350香港ドルが求められています。この納付をしないかぎり登記証は有効にならず、会社は「有効な商業登記証を持たずに事業をしている」状態になります。更新後の登記証は、事業所に掲示しておく義務もあります。
更新をしていなかった会社によくあるのが、「香港法人はほとんど動いていないので、更新しなくてもよいと思っていた」というケースです。しかし、納付通知書には、法人の場合は解散または抹消登記をするまで事業を停止したものとは扱わない旨が記載されています。つまり、会社が存続しているかぎり、取引がなくても毎年の更新が必要です。
指定日までに納付しないと、条例に基づき追加金が加算され、請求額が増えます。それでも納付がない場合、税務局は裁判所に告発することができます。今回の召喚状は、条例第7条(登記料の納付)と第15条(罰則)の違反を理由とするものでした。
注意したいのは、告発が期限切れから時間をおいて行われる点です。たとえば、2025年7月から始まる年度の更新をしていなかった場合、約1年後の2026年8月に告発され、その約2か月後が出廷日に指定されることになります。「何も言われないから大丈夫」と思っていると、ある日突然、裁判所の書類が届くことになります。
日系の香港法人で更新が止まってしまう原因は、多くの場合次のようなものです。
まず、事件番号、出廷日時、法廷番号、対象となっている年度を確認します。そのうえで、次の対応を進めます。
(1)未更新の年度をすべて洗い出し、登記料・徴費と追加金を納付する
告発の対象は1年度分でも、その後の年度も更新されていないことがほとんどです。すべての年度について更新し、有効な登記証を取得してください。納付しても告発が自動的に取り下げられるとは限りませんが、納付済みであることは審理で事情として考慮されます。納付の証明書類は必ず保管します。
(2)出廷者を決める
召喚状には、有罪を認める場合でも出廷が必要と明記されています。法人の場合は代理人の出廷も認められますが、会社から正式に委任されたことを証明する書類を持参しなければなりません。取締役が日本在住で渡航が難しい場合は、現地の弁護士や代理人への委任を早めに手配します。
(3)欠席しない
指定日に誰も出廷しないと、会社に不利な形で手続きが進むおそれがあります。商業登記条例違反の罰則は、最高で罰金5,000香港ドルおよび1年の禁錮と定められており、軽く考えてよいものではありません。
(4)ほかの法定手続きも点検する
商業登記証の更新が止まっている会社は、会社登記所への年次申告や、税務局への利得税申告も滞っている可能性があります。この機会にまとめて確認しましょう。
香港では、商業登記証の更新とは別に、会社登記所(Companies Registry)へ毎年「年次申告(アニュアルリターン)」を提出する義務があります。提出が遅れるほど登録手数料が高くなる仕組みで、会社登記所のウェブサイトには次の金額が掲載されています。
【香港の非上場会社(様式NAR1)】設立日の応当日を基準
期限内に出せば105香港ドルで済むものが、9か月を過ぎると3,480香港ドルになります。未提出の年度が複数あれば、年度ごとにこの手数料がかかります。
出典:香港会社登記所「Specified Forms – Details」
https://www.cr.gov.hk/en/forms/specified-forms/details.htm
香港法人を今後使う予定がないのであれば、更新を放置するのではなく、抹消登記や清算で会社を正式に閉じることも検討してください。会社が存続するかぎり、商業登記証の更新や年次申告の義務は毎年続きます。ただし、手続きを始める前に未更新・未申告の状態を解消しておく必要があるため、閉じる場合でも、まず現状の整理から始めることになります。
商業登記証の更新は金額こそ小さいものの、放置すると裁判所への出廷という大きな負担につながります。
当グループでは、香港をはじめとする海外現地法人の設立後の維持管理や、不要になった現地法人の整理についてもご相談を承っています。香港から見慣れない書類が届いた場合や、更新手続きの状況に不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。当社は日本側は税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人を経営する士業ワンストップ型の事務所です。そして海外は香港以外にも7か国に進出し、現地法人を構えて現地の日系企業の設立から会計税務、労務、法務をワンストップでサポートしております。
香港法人で上記のような問題が生じた場合はお気軽にご連絡ください。また、そもそも閉じたほうがいいのか、それとも休眠がいいのか、そのあたりが分からない場合もご相談ください。別のブログでは清算や休眠についても解説しておりますのでご参照ください。
お問い合わせは弊社webサイトからお願いします。
ガルベラの香港進出サポートサイト
https://hongkong-support.com/
この記事が、香港での現地法人運営の理解を深める一助となれば幸いです。
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② 2026年09月30日(水) 10:00~11:00 |
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